1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680687
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
荒木 正介 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00118449)
|
Keywords | 網膜再生 / 色素上皮 / 分化転換 / ウズラ胚 / イモリ / 神経提 / 眼胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、網膜色素上皮が脱分化過程を経て綱膜神経層に分化するプロセスにおいて、細胞系譜の解析とその制御因子を明らかにすることである。平成11年度においても前年度に引き続きウズラ胚の突然変異体とイモリ成体を材料にして、両者を比較しながら研究を進めた。 1.ウズラシルバー変異体では胚発生の初期において特定の部域にある色素上皮が網膜に分化転換する。この変異の原因を明らかにすることは分化転換現象の理解にたいへん重要である。(1)野生型胚とシルバーホモ型胚で神経提細胞の移動分布について調査した。その結果、HNK-1抗体陽性の神経提細胞の分布に違いがあることが明らかになった。特に、3日胚の眼杯においてホモ型胚では多数の陽性細胞が見られたが、野生型ではほとんど見られなかった。そこで、(2)初期体節期のシルバーホモ型の眼胞を切除し、これをニワトリ野生型胚の同部位と交換移植した。この結果、眼杯組織はホモ型であり、眼周囲の結合組織(神経提に由来する)は野生型のキメラ胚を作成した。この移植眼の色素上皮は正常に発生し、分化転換することはなかった。対照実験ではこのようなことはないので、シルバーホモの色素上皮の分化転換は神経提細胞と色素上皮の相互作用によることが強く示唆された。 2.イモリの網膜再生は色素上皮から綱膜への分化転換による。この過程でどのような分子が関与しているのか全く不明である。このメカニズムを明らかにするために、色素上皮の組織培養系を確立する必要がある。新しく、膜フィルター上での培養系を開発し、この培養系で色素上皮からニューロンが分化することを確認した。さらに、FGFはニューロン分化を非常に加速すること、他の成長因子(IGF、EGF)ではこの効果がないことを明らかにした。次年度では、この培養系によって色素上皮の分化転換の分子メカニズムの解析が開始できると期待できる。
|
Research Products
(1 results)