1998 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の神経発生におけるNotch 2の機能解析
Project/Area Number |
10680691
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
角川 裕造 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (00261199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正彦 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (60267953)
浜田 義雄 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10132739)
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Keywords | Notch 2 / ノックアウトマウス / アポトーシス / グリア細胞 / キメラマウス / roof plate / sorting out |
Research Abstract |
1. グリア細胞におけるNotch2の発現と機能 生後の脳でNotch2を発現し続けている細胞について種々の抗体を用いた同定をおこなったところ、小脳や海馬のバーグマングリア、放射状グリアや一部のアストロサイトであることが判明した。また大脳においてはin vivoでNotch2の発現は見られなかったものの、単離培養下ではアストロサイトで発現が誘導されることがわかった。幼若なグリア細胞ほどNotch2の発現は強くまたBrdUの取り込み活性も強いことが示され、グリア細胞の分化、増殖にNotch2が関与していることが明らかとなった。 2. Notch2ノックアウトマウスの解析 (1) アポトーシス関連因子の発現解析 Notch2変異マウスと野生型マウスにおいて、Bcl-2,Bcl-x,Nur77などの発現を抗体染色により比較してみたが差はなかった。 (2) 野生型マウスとのキメラ解析 8細胞期胚の割球1個を用いてPCRをおこない、その胚の遺伝子型を判定した後にキメラマウスを作製する系を確立した。この技術を用いてNotch2ホモ変異胚と野生型胚で作製したキメラを解析した結果、キメラ胚は胚性致死を免れ妊娠10.5日以降も発生を続けられることがわかった。妊娠9.5日までは全ての組織がモザイク性を示したが、10.5日のキメラ胚ではNotch2を強く発現する組織の一つである間脳、中脳の蓋板においてホモ変異体由来の細胞はほとんど観察されなかった。このようなキメラ胚においてホモ変異胚由来の細胞に特異的なアポトーシスは観察されず、ホモ変異胚で見られたアポトーシスは細胞自律的に起こるのではなく、2次的な影響であると考えられた。さらに野生型とへテロのキメラにおいてもこの領域は野生型細胞によって優先的に占められることがわかった。このことから間脳、中脳の蓋板形成にNotch2が関与し、Notch2の発現量に依存した細胞選別が起きていることが示唆された。
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