1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680698
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
門田 朋子 千葉大学, 医学部, 助教授 (00089864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西道 隆臣 千葉大学, 理化学研究所, 研究員
西山 真理子 千葉大学, 医学部, 助手 (00092081)
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Keywords | シナプス可塑性 / 長期増強 / 刺激後増強 / パーフォレイテッド・シナプス / シナプス小棘 / 電子顕微鏡 / 上頸神経節 |
Research Abstract |
シナプス可塑性を表す現象として長期増強(LTP)、刺激後増強(PTP)長期抑圧(LTD)などが知られている。 本研究では長期増強現象の解明に重点をおいて検索を進めた。材料として、ネコ又はラットの上頸神経節を用いた。LTPは海馬で初めて検出された現象で、記憶・学習の素過程をなすものであろうと考えられている。長期増強現象は上頸神経節でも検出されている。加えて、こちらの方が刺激投与や材料固定の容易さの上で優れている。これが上頸神経節を材料として用いた理由である。 本年度の実験から次の2点について明らかな成績を得た。 1) シナプス増強発現のための最適条件刺激の確定(高速パワーラブシステム使用) 長期増強発現のための最も安定した条件刺激は10Hz50秒(500パルス)であった。刺激終了直後に刺激後増強(PTP)が出現し、約1分後に消失した。この時点で約20%のシナプス増強を示す長期増強が存在した。このLTPは条件刺激終了後3時間、殆ど減少を示すことなく継続してみられた。これに対し、10Hz5秒〜10秒(50〜100パルス)の条件刺激では明瞭なPTP出現を示すが、LTPは全く出現しなかった。 2) 長期増強に応じたシナプスの機能的形態変化 我々の開発した舌動脈を経由する局所潅流法を用いて、上頸神経節を条件刺激終了の直後からそれに続く長期増強発現の各時点で固定し、シナプスの機能的形態変化を電子顕微鏡を用いて検索した。LTPを発現した神経節ではパーフォレイテッド・シナプス(perforated synapse;PF)とシナプス小棘(synaptic spinule;SP)の著明な形成・増加が認められた。PFはコントロール材料では全シナプスの約5%の頻度で検出されるが、実験例では20-30%の高頻度で出現した。またPFに付随して見出されるSPはシナプスの分割に関与する構造ではないかと推察された。両者ともその形成は非常に迅速で、条件刺激投与中に秒単位の速度で出現することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 門田朋子: "シナプス発見物語-III シナプスの形は変る,ダイナミックに変る" ミクロスコピア. 15. 28-32 (1998)
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[Publications] Kayoko Moroi: "Characterization of [^3H]5-hydroxy-tryptamine and [^3H]spiperonebinding sites in clathrin-coated vesicles from bovine brain." Brain Research. 794. 291-298 (1998)