1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起の形成過程における選択的蛋白分解の基質蛋白質群の精製と同定
Project/Area Number |
10680723
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高田 耕司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30179452)
|
Keywords | ユビキチン / 蛋白分解 / プロテアソーム / PC12細胞 / 神経突起 / 蛋白精製 / アミノ酸配列解析 / 熱ショック |
Research Abstract |
本年度は材料調製と精製方法に関する条件設定を行った。 各種条件下で培養したPC12h細胞のマルチュビキチン鎖を特異的ELISAで定量したところ、神経成長因子を1週間作用させて突起形成を誘導すると、マルチュビキチン鎖量が約3倍増加した。また、細胞回収前にプロテアソーム阻害剤MG132を培地に添加すると、その濃度と感作時間に比例してマルチュビキチン鎖量が増加した。その際、過剰感作による細胞傷害性も認めたため、最適な条件を検討し、濃度2μM、感作2時間と決定した。これにより、1mg蛋白あたりマルチュビキチン鎖150ng(MUCRP1換算)が得られる。出発材料のマルチュビキチン鎖は50μg以上確保したいため、蛋白300mg相当、即ち55cm^2培養皿約200枚分の細胞調製を決定した。 精製方法の検討には、大量調製が容易なK562白血病細胞を用い、MG132感作と熱ショック負荷の前処理後、抽出液を調製した。精製第一段階には、結合型ユビキチンに高親和性を示すFK2抗体をSepharoseに固定したカラムを用いた。約300mg蛋白を含む抽出液を同カラムに展開し、吸着成分を高濃度の塩で溶出したところ、蛋白量は0.6%まで減少したがマルチュビキチン鎖は100%回収され、優れた精製効率を得た。次に、これをゲル濾過し、SDS-PAGEでスメアなバンドを示す30kDa以上の成分と複数の明確なバンドを与える30kDa以下の成分を得た。その後の蛋白・免疫化学的検討から、前者の主成分はマルチュビキチン化蛋白と同定され、目的に適う精製標品が得られた。一方、後者には、ユビキチン単〜多量体に加え、複数のユビキチン結合酵素(E2)およびそれらとユビキチンのチオエステル結合体が同定された。こうしたE2の精製・同定は過去に例が無く、本方法の優れた特質が見出された。PC12h細胞のE2の同定も目標に加え検討を進める。
|
-
[Publications] 栗村正之: "ヒト全脳虚血における髄液ユビキチンの上昇について-虚血性神経学的予後推定のために-" 臨床神経学. 37. 963-968 (1997)
-
[Publications] 高木 優: "アルコール性肝障害における血清ユビキチンの動態について" アルコールと医学生物学. 18. 47-51 (1998)
-
[Publications] Joh,K.: "Isolation and characterization of tubular basement membrane antigen common to human and rats." Int.J.Mol.Med.1. 223-226 (1998)
-
[Publications] Ohtani-Kaneko,R.: "Proteasome inhibitors which induce neurite outgrowth from PC12h cells cause different subcellular accummulations of multi-ubiquitin chains." Neurochem.Res.23. 1435-1443 (1998)