1999 Fiscal Year Annual Research Report
培養海馬神経細胞のグルココルチエイド受容体発現に対する抗うつ薬の効果
Project/Area Number |
10680725
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大森 京子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (90152256)
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Keywords | グルココルチコイド受容体 / 抗うつ薬 / 海馬神経細胞 / 培養 / 発現 |
Research Abstract |
脳海馬のグルココルチコイド受容体(GR)やミネラルコルチコイド受容体(MR)は、コルチゾールを介した視床下部-下垂体-副腎(HPA)系のフィードバック制御に関係しているとされている。うつ病においてみられるHPA系制御の破綻の背景にこれら受容体の機能低下が存在する可能性があり、抗うつ薬は海馬神経細胞のGRやMRの発現を高めることが動物実験で示されている。本研究では、この抗うつ薬の効果が海馬神経細胞に対する直接効果によるか否かを知るため、培養ラット海馬神経細胞に抗うつ薬を、臨床効果発現に必要とされる期間(14日間)作用させGRの発現の変化について検討した。 1.三環系抗うつ薬アミトリプチリン、デシプラミンは、[^3H]dexamethazone結合活性で示されるGR発現量を、2〜3日後に一過性に増加させると共に、10〜14日を要して徐々に増加(長期効果)させた。 2.デシプラミンの長期効果の発現には少なくとも最初の4日間、また最大効果を得るには最初の10日間の薬物添加期間が必要であった。 3.各種抗うつ薬および抗精神薬14日間添加の効果を、ノーザンブロッティングにより解析したところ、GRmRNA発現量は、アミトリプチリン、デシプラミン、ミアンセリン、パロキセチン(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、スルピリドにより増加したが、ハロペリドールによっては増加しなかった。 以上より、抗うつ薬のGR発現に対する長期効果は、異なる抗うつ薬間で共通にみられ、その効果発現には最初の4日間以上の薬物処理が必要と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Gaku Okugawa: "Long-term treatment with antidepressants in creases glucocarticoid receptor binding and gene expression in cultured rat bippocampal neuroses."J.Neuroendocrinology. 11. 887-895 (1999)
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[Publications] Junko Suzukawa: "Long-lasting c-tos and NGFmRNA expressions and loss of perikaryal parvalbumin immunorlactivity in the development of epilentogenesis after ethacrynic acid-induced seizure."Brain Res.. 834. 89-102 (1999)
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[Publications] Yoshito Fujiseki: "Natriuretic peptide receptors,NPR-A and NPR-B, in cultured rabbit retinal pigment epithelium cells"Jpn.J.Pharmacol. 79. 359-368 (1999)