1998 Fiscal Year Annual Research Report
Phencyclidineによるprepulse inhibitionの抑制機序に関する研究
Project/Area Number |
10680726
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山田 茂人 久留米大学, 医学部, 助教授 (20158190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (10080954)
吉田 真美 久留米大学, 医学部, 助教授 (50148285)
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Keywords | 抗精神病薬 / prepulse inhibition / phencyclidine / セロトニン2A受容体 / ドパミンD_2受容体 / ラット |
Research Abstract |
Prepulse inhibition(PPl)は大きな音刺激に対するラットの驚愕反応が直前の小さな音刺激により抑制される現象である。このPPlは分裂病患者で滅弱しており、分裂病の病態としての情報処理障害のモデルと考えられている。ドパミン作動薬であるapamorphineによりPPlは減弱し、抗精神病薬で拮抗されることから、抗精神病薬のスクリーニング法として注目されている。Phennynline dine(PCP)は分裂病状態を惹起することが知られており、PPlを滅弱するといわれているが、その機序については明らかになっていない。 本研究では定型抗精神病薬(haloperidol, chlorpromazine, spiper one,pipamper one)、非定型抗精神病薬(clozaplne,risperidone,seroquel,olanzapine)あるいはserotonin拮抗薬(desipramine,mianserin)をPPI測定30分前にラットの腹腔内に投与し、apomorphine (1mg/kg)およびphencyclidine(PCP,1.5mg/kg)投与によるPPIの滅弱に対するそれぞれの薬物の拮抗作用の用量依存曲線を求め、各薬物のED50値と各種の受容体親和性との相関からPCPおよびapomor phineによるPPI減弱に関わる因子を検討した。生食投与後のP円は65%であったが、apomor phine(1mg/kg)投与によりPPIは45%に減弱し、haloperidoi,chlorpromazine,spiperone,pipamperone、clozapine,rispeidone,seroquel,olanzapineの抗精神病薬の前処置により用量依存性に拮抗した。この拮抗作用の力価はそれぞれのdopamine D2受容体の親和性と高い相関が認められた(r=0.905)。一方、PCP(1.5mg/kg)投与によりPPIは42%に滅弱し、この減弱はchlorpromazine,spiperone,pipamperone、clozapine,risperidone,seroquel,olanzapineばかりでなくdeslpramineやrTianserirf)前処置により用量依存性に拮抗された。haloperidolの拮抗作用はψ50が4.6.mg/kgと極めて弱かった。この拮抗作用の力価はそれぞれのserotonin 2A.受容体の親和性と高い相関が認められた(r=0.844)。 以上の結果よりapomorphineによるPPIの減弱にはdopamine D2受容体が関与していることが示唆され、これまでの報告を支持している。一方、PCPによるPPIの滅弱にはserotonin 2A受容体の関与が示唆され、PCP投与後の情報処理障害にserotonin系が関係していることが明らかになった。
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[Publications] S.Yamada, M.Harano,et al.,: "Involvement of serotonin 2A receptors in phencyclidine-induced disruption of acoustic startle in rats" Biological Psychiatry. (印刷中). (1999)