1999 Fiscal Year Annual Research Report
フェンシクリジンによる感覚入力制御機構の破 状態の解析
Project/Area Number |
10680726
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山田 茂人 久留米大学, 医学部, 助教授 (20158190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久富 慎治 久留米大学, 医学部, 助手 (90320241)
吉田 眞美 久留米大学, 医学部, 助教授 (50148285)
田中 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (10080954)
|
Keywords | プレパルス インヒビション / セロトニン / フェンサイクリジン / シグマ受容体 |
Research Abstract |
我々はこれまでapomorphineによるprepulse inhibition(PPI)の減弱にはdopamine D2受容体が関与していることを確認する一方、Phencyclidine(PCP)によるPPIの減弱にはserotonin 2A受容体の関与が示唆され、PCP投与後の情報処理障害にserotonin系が関係していることを明らかにした。本年度はPCP投与後の情報処理障害にserotonin系が如何に関与しているかを調べるために、ラットにPCPAを投与しserotonin枯渇状態を作成しその時のPPIの変化とPCP投与による影響を調べた。PCPA(300mg/kg)投与後2時間でPPIは増加し、この増加は24時間で最大となり、96時間でPCPA投与前値まで戻った。そこでPCPA投与24時間目にPCP2mg/kgを投与しPPIの変化を調べた。PCPの投与前のPPIはcontrol群(生食投与群)で50.8±4.9%、PCPA投与群で78.9±3.1%でありPCPA投与により有意な増加が認められた。PCP投与によりcontrol群ではPPIは30.8±6.3%、PCP投与群では61.1±6.3%と両群ともに減少がみとめられ、PCPAの効果とPCPの効果に交互作用は認められなかった。以上の結果はPCPによるPPIの減弱作用はPCPのserotonin遊離作用のみでは説明できず、serotonin 2A受容体あるいはその他の受容体に対する刺激作用によることが示唆された。PCPにはσ受容体に対する高い親和性が報告されている。そこでPCPによるPPI減弱に対するσ受容体遮断薬であるMS-377の拮抗作用を検討した。PCPによるPPI減弱はPCP投与30分前にMS-377を腹腔内投与するとPCPによるPPI減弱は有意に拮抗され、そのED50値は0.5mg/kgであった。このことはPCPによるPPIの減弱にσ受容体が関与していることを示唆している。
|
-
[Publications] S.Yamada,M.Harano,N.Anno M.Tanaka: "Involvement of serotonin 2A receptorsin phencyclidine-induced disruption of prepulse inhibition of the acoustic startle in rats"Bilogical Psychiatry. 46(6). 832-838 (1999)