1999 Fiscal Year Annual Research Report
ランビエ絞輪部における電位依存性K^+チャンネルのクラスタリング形成機序の解明
Project/Area Number |
10680729
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
馬場 広子 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (40271499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中平 健祐 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (10260043)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 電位依存性チャネル / 脱髄 / ランビエ絞輪 / クラスタリング / ミエリン形成不全 |
Research Abstract |
有髄神経軸索の神経興奮伝導に関与する電位依存性チャネルはきわめて特徴的な局在を示す。われわれは、K+チャネル(ch)の局在化および維持に対して髄鞘、特にparanode部分の構造が重要であること、PSD95関連蛋白質がこの局在化に関与していることを明らかにしてきた。本年度はさらに、1)髄鞘形成と軸索上のチャネル局在の関係をより明らかにするため、node付近に局在化するNa+ch(node)、Capsr(paranode)、K+ch・Capsr2(juxtaparanode)の4種類の蛋白に対する特異抗体を用いて、脱髄や髄鞘形成異常マウスの視神経および脊髄を解析した。この結果、中枢神経系の脱髄時には髄鞘直下の軸索部にあるK+ch・Capsr・Caspr2の局在化はただちに消失するが、nodeでのNa+chの局在化は脱髄後もそのまま残ることが観察された。この2つのチャネルの局在変化は脱髄における伝導ブロックの発生に関与していると推測された。また、paranode部分の構造が異常な場合にもCapsrとK+ch・Caspr2は互いに共存せず、髄鞘・軸索の接する部分には前者、接しない部分には後者がそれぞれ独立してクラスターを形成することがわかり、これらの特徴的な局在化に髄鞘側の因子が大きく関与することが明らかになった。2)これらの蛋白の局在化に関与する軸索側の因子の解析のため、K+ch α・βサブユニットとPSD95遺伝子を上皮細胞株に導入した。結果、3つの蛋白は複合体を形成するが、細胞膜上で明らかなクラスターは形成しないこと、軸索に相当するapical側には局在しないことがわかりた。このことからこれらの蛋白が軸索に運ばれ、juxtaparanodeでクラスターを形成するには別の因子の関与が必要なことが推測された。
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