1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680734
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
中嶋 一行 国立精神・神経センター, 代謝研究部, 室長 (50175494)
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Keywords | ミクログリア / ニューロトロフィン / プラスミノーゲンアクチベーター / プラスミノーゲン / ATP |
Research Abstract |
脳の損傷や疾患時に観察されるミクログリア活性化の誘導メカニズムは全く不明であるため、まず動物モデルとしてラット顔面神経を切断する系を採用することにより、活性化誘導因子を想定した。その一つは顔面神経切断により神経核(主に運動ニューロン)に増加してくるニューロトロフィン(BDNF)である。このニューロトロフィンのミクログリアの活性・化に働く可能性を培養系により検討した結果、4種のニューロトロフィン(NGF.BDNF.NT-3、N1-4)は生体内で観察されるミクログリアの活性化と同様、プラスミノーゲンアクチベーターやプラスミノーゲンの産生を促進することが示された。また、ニューロン由来のミクログリア活性化因子としてのふたつめの候補はATPである。これはニューロンから活性依存性に分泌される可能性が示されているからである。この物質のミクログリア活性化に働く可能性を培養系により検討したところ、形態変化を誘導したり、プラスミノーゲンの分泌を促進する活性をもつことが明らかになった。これらの因子のミクログリアに対する作用やそのメカニズムについては詳細に検討し、論文として報告した。また、ミクログリア活性化゚の抑制に関与する因子の探索を行ったが、これまでの結果、TGFβやGDNFにその作用のあることが明らかになっている。抑制作用を示す因子は脳の修復・再生過程に重要な働きをすると考えられるため、さらに詳細に検討している。
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[Publications] Inoue,K.: "ATP stimulates Ca2+-dependent plasminogen release from cultured microglia." Br.J.Pharmacol.123. 1304-1310 (1998)
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[Publications] Nakajima,K.: "Neurotrophins regulate the function of cultured microglia." GLIA. 24. 272-289 (1998)
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[Publications] Ito,D.: "Microglia-specific localization of a novel calcium binding protein,Ibal." Mol.Brain Res.57. 1-9 (1998)
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[Publications] Graeber,M.B.: "The microglia/macrophage response in the neonatal rat facial nucleus following axotomy." Brain Res.813. 241-253 (1998)
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[Publications] Nakajima,K.: "Functional roles of microglia in the central nervous system." Human Cell. 11. 141-154 (1998)