2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680734
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中嶋 一行 創価大学, 生命科学研究所・神経化学部門, 講師 (50175494)
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Keywords | ミクログリア / ニューロトロフィン / プロテインキナーゼC / リポポリサッカライド |
Research Abstract |
ミクログリアは活性化されると、傷害因子を産生する傷害性細胞として、あるいは神経栄養因子を産生する神経保護的細胞として作用すると推測されているが、それがどのようなメカニズムによって区別、調節されるのかはまったく不明である。そこで今年度は、ミクログリアによる傷害因子および神経栄養因子の分泌に関わる細胞内シグナル伝達系を解析した。 神経栄養因子としてニューロトロフィンを取り上げ、その産生/分泌を調べると、非刺激時にBDNFを分泌することがわかった。この時、細胞傷害性を示すNOやTNFαなどの産生は全く認められなかった(神経保護的状態)。一方、LPSで刺激すると、細胞傷害性因子であるNOやTNFαの放出が誘導された(細胞傷害状態)。 一般的に物質の産生、分泌にはSer/ThrキナーゼであるプロテインキナーゼC(PKC)が関わることが知られているため、上記、神経保護的状態および細胞傷害状態におけるPKCの関与を特異的阻害剤により検討した。その結果、神経保護的状態におけるBDNFの分泌および細胞傷害状態のNO、TNFαの分泌は強く阻害されることから、これらの物質の分泌にはPKCが深く関与することが明らかになった。 次に様々な細胞機能の調節に働くMAPキナーぜや転写因子の関与を検討したところ、p38MAPキナーぜはLPS誘導性TNFαの産生に強く関与することが明らかになったが、神経保護的状態におけるBDNFの産生には直接関与しないことがわかった。 このように、ミクログリアによる生物活性因子の分泌には、PKCが深く関わり、物質によっては、さらにMAPキナーゼによっても調節を受けることが判明した。従って、ミクログリアの神経保護的状態における神経栄養物質および細胞傷害状態における細胞傷害性因子の産生には、共通のシグナル伝達経路とその下流の特異的経路によって調節される可能性が推測された。
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[Publications] Lopez-Redondo F: "Glutamate transporter GLT-1 is highly expressed in activated microglia following facial nerve axotomy."Mol.Brain Res.. 76. 429-435 (2000)
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[Publications] Liu,Yongmao: "Plasminogen enhances the secretion of plasminogen activator-1 (PAI-1) from cultured rat astrocytes."Neurosci.Lett.. 282. 137-140 (2000)
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[Publications] Hide I: "Extracellular ATP triggers tumor necrosis factor-alpha release from rat microglia."J Neurochem.. 75. 965-972 (2000)
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[Publications] Nakajima K: "Ceramide-enhanced urokinase-type plasminogen activator (uPA) release is mediated by protein kinase C in cultured microglia."Glia.. 32. 226-233 (2000)
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[Publications] Nakajima K: "Intact microglia are cultured and non-invasively harvested without pathological activation using a novel cultured cell recovery method."Biomaterials.. (in press).
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[Publications] 中嶋一行: "脳の科学"星和書店. 6 (2000)
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[Publications] 中嶋一行: "現代医療"現代医療社. 6 (2000)