1998 Fiscal Year Annual Research Report
プレコンディショニングによるLTP誘導抑制現象の研究
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10680738
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤井 聡 山形大学, 医学部, 助手 (80173384)
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Keywords | Long-term potentiation(LTP), / LTP誘導抑制、 / NMDA型グルタミン酸受容体、 / プレコンディショニング、 / アデノシン受容体、 / 細胞内リン酸化反応、 / 細胞内Ca^<2+>動態 / metaplasticity, |
Research Abstract |
海馬CA1ニューロンを1Hz前後の低頻度シナプス入力刺激でプレコンディショニングすると、同じ経路にその後テタヌス刺激を与えても長期増強 (Long-term potentiation:LTP)が誘導できない(Fujii et al.,Brain Res.,555(1991)112)。本研究では「特定周波数のプレコンディショニング刺激が複数の細胞内リン酸化反応を賦活し、テタヌス刺激時の細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を抑制するためにLTPの誘導が抑制される」とメカニズムを仮定し、(1)プレコンディショニング刺激後のシナプス後細胞内Ca^<2+>濃度測定、(2) LTP抑制に有効な2次情報伝達系の特定、(3)有効なプレコンディショニングの有無とテタヌス刺激後シナプス後細胞でのCa^<2+>濃度との相関、を検討を通じて実証する。 平成10年度に申請者は、低頻度シナプス入力刺激中のNMDA型グルタミン酸受容体およびアデノシンA2受容体の活性化がプレコンディショニングによるLTP誘導抑制現象を増強することを確認した。アデノシンA2受容体が活性化は海馬CA1シナプス後細胞のcyclic AMPを増加させて、(1)プレコンディショニング時にNMDA receptor/Ca^<2+>channelの活性化を増強してカルシウム依存性リン酸化過程の活性化を促進する、(2)A kinaseに依存するリン酸化過程の活性化を促進する、ことでLTP誘導抑制を増強すると考えられた。現在、プレコンディショニング後一定時間、シナプス後細胞に上記リン酸化酵素阻害薬を与え、LTP誘導抑制に関与する2次情報伝達系を同定している。
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