1998 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体における情動認知・情動記憶の神経情報処理様式と長期増強
Project/Area Number |
10680740
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
福田 正治 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (60126547)
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Keywords | Amygdala / Fear / Emotion / Behavior / Neural Information / Rats |
Research Abstract |
本研究の目的は扁桃体における情動認知・情動記憶の神経情報処理様式とLTPの機能的役割の一端を明らかにすることである.平成10年度は計画に従い、以下のことを明らかにした.1) 社会心理的ストレス状況下での情動認知と扁桃体の役割:電撃ショックを受けている動物と受けていない動物を同一ケージに入れ,電撃ショックを受けている動物が発する情報(ショックによる飛び上がり,発声等)に対して電撃ショックを受けていない動物のストレス反応について、扁桃体の中心核をイボテン酸で化学破壊し、心拍を指標とした自律神経系の影響を調べた.その結果、扁桃体の損傷により恐怖を受けている動物の自律神経系の抑制応答は消失した.これは扁桃体が情動認知・情動記憶に深く関与していることを示唆する. 2) 単一ニューロン活動による情動認知の情報処理様式の解析:扁桃体は音の条件付け後の他の感覚刺激による驚愕反応の増強に関与したり、音刺激による驚愕反応誘発の前に弱い音刺激を与えた場合の驚愕反応の増強や抑制に関与していることが行動学的に明らかにされている.新たに驚愕反応装置を購入し、脳定位固定装置に使用できるように改造した.覚醒下ラットの扁桃体各部位から単一ニューロン活動を記録し、驚愕反応に対する情報処理様式を解析した.その結果、音刺激による驚愕反応誘発の前に弱い音刺激を与えた驚愕反応の増強や抑制に対応した特異的なニューロン応答を示すニューロンの存在が明らかになった. 11年度はこの結果を詳細に解析するとともに扁桃体におけるLTPの研究をすすめる予定にしている.
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