1998 Fiscal Year Annual Research Report
可塑的シナプスにおける伝達と形態のリアルタイム同時計測
Project/Area Number |
10680741
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村瀬 一之 福井大学, 工学部, 教授 (40174289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 竜哉 福井大学, 工学部, 講師 (60291374)
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Keywords | 脊髄 / レーザースキャン共焦点顕微鏡 / シナプス可塑性 / 樹状突起 / 蛍光染色 / NMDA / オピオイド |
Research Abstract |
シナプス伝達の可塑的変化に伴い樹状突起の形態が変化する可能性が形態学的研究などで示唆されているが、それを示す確固たる実験結果は未だ無い。そこで本研究では、生きた脊髄スライス内の樹状突起と軸索が条件刺激で伸縮・移動するかをレーザースキャン共焦点顕微鏡でリアルタイム撮像すると共に、電位感受性色素を併用してシナプス伝達の変化を同時計測する。本年は、(1)生きた脊髄スライス内の樹状突起をレーザースキャン共焦点顕微鏡で撮像し、(2)サブスタンスPなどの薬物や条件刺激によるスパイン等の形態変化をリアルタイムで記録する。また、(3)シナプス前終末の形態が変化するか、についても調べることを目的とした。 生きた脊髄切片の樹状突起をレーザースキャン共焦点顕微鏡で撮像するため細川らの方法を脊髄スライスに適用した。すなわち、蛍光染料DiIを肝油に溶融し、顕微鏡上の還流チャンバー内で、ラット脊髄矢状スライス表面に直径10μm前後のドロップとして滴下・吸着させ、その部分に細胞体を持つ細胞を選択的に染色した。その結果、樹状突起をレーザースキャン共焦点顕微鏡で撮像することに成功した。 条件刺激の効果をみるため、まず、形態変化を誘起する可能性がある薬物、すなわち、[Ca^<++>]_1を増加させる外液、サブスタンスP、NMDA、オピオイドの効果を調べた。その結果、NMDAの5分間投与によって、樹状突起の結節部分の直径が選択的に1.7-1.8倍に膨張した。それは数時間以上持続したが、オピオイドの投与によって即座に収縮した。さらに、長期増強の条件刺激である高周波刺激によっても同様の形態変化が生じた。また、後角白質線維束部分に染料を含むドロップを滴下し、線維から順行性に軸索終末端を染色した。しかし、上記の各種条件刺激では軸索の形態変化は生じなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Murase,Kazuyuki: "Robust restructuring of dendrites induced by N-methyl-D-aspartate in rat spinal dorsal horn observed in real time" Japanese Society for Neuroscience Abstract Neuroscience Research. (in press). (1999)
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[Publications] Murase,Kazuyuki: "Slow intrinsic optical signals in rat spinal dorsal horn in slice" NeuroReport. 9. 3663-3667 (1998)
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[Publications] Ikeda,Hiroshi: "Optical responses evoked by single-pulse stimulation to the dorsal root in rat spinal dorsal horn in slice" Brain Research. 812. 81-90 (1998)