1998 Fiscal Year Annual Research Report
同一皮質領域内に並存する反対側/同側投射錐体路ニューロンの活動
Project/Area Number |
10680746
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤村 幸一 長崎大学, 医学部, 助手 (10173460)
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Keywords | 大脳誘発電位 / 大脳半球破壊 / 前肢運動 / 新生児ラット / 多点同時記録 / 感覚運動野 / 小脳核刺激 / 前肢刺激 |
Research Abstract |
新生児期に大脳半球が損傷されたラットでは、成長後に損傷されたものよりも前肢の運動障害が明らかに小さいことが知られている。以前の研究で、新生児期に損傷を受けたラットでは、残った大脳半球側から同側の脊髄にも線維投射が生じるが、前肢から感覚野への信号連絡は反対側からのみであり、また左右小脳核から運動野への信号投射は正常ラットと同等であることが示唆された。しかし計測点が限られていたため、反応の伝播を直接観測できず、皮質上の信号連絡等については推定するのみであった。今回、補助金で導入した多点同時記録システムを活用することで、詳細な反応の時間的推移を比較することができた。生後2日の新生児ラットの左大脳半球を吸引破壊した。3カ月以上たって、ウレタンおよびケタミンで麻酔した動物を、脳定位固定装置に保定し、大脳皮質と小脳後部を露出。左右前肢末梢部筋、左右の小脳中位核にそれぞれ刺激電極を刺入した。左右の前肢、左右の小脳核、あるいは前肢と小脳核を交互に単一パルスで刺激し、大脳皮質誘発電位を記録した。記録は銀線を使った8チャネル並列電極を用い、250μm間隔で8点づつ、高速AD変換器、コンピュータと計測システム開発ソフトによって作製した多点同時記録解析システムで電位を収録し、それぞれの誘発電位を加算平均した上で集計し、200点から300点の誘発電位を、平行してビデオ撮影した脳座標上の平面座標に色の濃淡として再現した。その結果、左前肢刺激による感覚性誘発電位が前頭皮質外側の限局した部位から陽性電位で始まり、その4ミリ秒前後にそれより前方内側の前肢運動野領域に移行する様子が明瞭に観測できた。一方、左小脳中位核刺激では、誘発電位が前頭皮質中央部の陰性電位で始まり、その後、外側前方部からの電位が広がる様子が認められた。中位核刺激反応の開始領域と、前肢刺激反応が移行する領域が重複することが確かめられた。
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Research Products
(1 results)