1999 Fiscal Year Annual Research Report
同一皮質領域内に並存する反対側/同側投射錐体路ニューロンの活動
Project/Area Number |
10680746
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤村 幸一 長崎大学, 医学部, 講師 (10173460)
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Keywords | 大脳皮質運動野 / 前肢 / 新生児期損傷 / 運動機能代償 / 誘発電位 / 電流源密度 / 多点同時記録 / 神経系再構築 |
Research Abstract |
生後2日の新生児ラットに冷却麻酔を施し、左側大脳皮質を選択的に吸引破壊して、破壊手術を受けない通常ラットと同様に飼育した。成長後、ウレタンおよびケタミン麻酔のうえ、ステレオ脳定位固定装置にセットして、開頭して無傷の右側大脳皮質を露出。左右前肢と小脳の左右の深部核にそれぞれ刺激電極を差しこみ、おのおの独立に短い単一パルス刺激を繰り返し、それに対する誘発電位分布の時間的経過を8極同時記録システムを使った大脳皮質表面の多点記録および皮質層電位記録で連続して観測し、正常ラットの結果と比較した。皮質層分布の記録では、電流源密度に対する主成分分析を使った統計的要素分析により、皮質内の信号源の分離してその時間的遷移の解析を試みた。その結果、小脳刺激では反対側刺激で運動野内の中層部の鋭い電流sinkで反応が始まり上層部に移動しながら周囲に広がる反応が認められたが、正常ラットとの明瞭な伝播の違いは見とめられなかった。一方、前肢刺激による感覚誘発電位では、正常ラットで反対側刺激誘発電位が皮質前方外側部位の下層部で始まり、上層部に移行しながら前方内側部位へ伝播し、同側誘発電位がその中間部位の主に表層部位から発現して周囲に広がる様子が明瞭に観察されたが、半球皮質破壊ラットでは同側前肢刺激による誘発電位は、表面電位分布でも、皮質層分布でもまったく観察されなかった。反対側刺激では正常ラットと同様の誘発電位分布が観察された。結果として、新生時期に大脳半球皮質破壊を受けたラットでは、右側運動野に分布する同側投射錐体路ニューロンは同側前肢自身からの求心性入力をほとんど受けていないことが確かめられた。この結果は1999年7月の神経科学学会(大阪)で発表した。
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Research Products
(1 results)