1998 Fiscal Year Annual Research Report
視覚系中枢ニューロンのシナプス可塑性による情報伝達効率の改善
| Project/Area Number |
10680754
|
|---|
| Research Institution | Fujita Health University |
|---|
Principal Investigator |
日高 聡 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00228735)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 理充 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (30278303)
宮地 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90129685)
|
|---|
| Keywords | 視覚情報伝達 / 活動電位 / 電位感受性ナトリウムチャネル / 持続性ナトリウム電流 / チャネル不活性化 / パッチクランプ法 / チャネル燐酸化 / プロテインキナーゼA |
|---|
| Research Abstract |
視覚情報は網膜内の介在ニューロン間のシナプスを経て視覚系中枢ニューロン・網膜神経節細胞で活動電位のスパイク列にコード化されている。本研究では網膜神経節細胞からのスパイク列の発生で機能する電位感受性Na^+チャネルとニューロン間の電気シナプス・ギャップ結合チャネルに注目している。
1. キンギョとラットから単離した網膜神経節細胞からpatch-clamp法を用いて電位感受性Na^+電流の特性を調べた。(1)不活性化する一過性Na^+電流に加えて不活性化しない持続性Na^+電流の生理学的特性を同定した。持続性型Na^+電流の振幅は平均で一過性型Na^+電流の振幅の0.8%であった。(2)反復スパイク列発生におけるNa^+電流の特性を調べるために、スパイク形状のconditioning pulseを用いて電流の部分的な不活性化を計測した結果、Na^+電流は最初のスパイク発生で陥る不活性化から数ミリ秒の時定数を持つ1つの指数関数で示される過程で回復し、数十Hzに及ぶ連続したスパイク列が発生することが可能であると結論した。
2. イオンチャネルは細胞内調節によるチャネル蛋白燐酸化を受け、電流特性が変化する。(1)チャネル燐酸化による電流調節の機能的な意義を実証するために、チャネル蛋白質を分子生物学的に解析した。RT-PCR法を用いてチャネル蛋白をコードするmRNAをクローニングしており(実験継続中)、目標は燐酸化部位の同定である。(2)チャネル蛋白質に特異的な抗体を用いてwestern blot法で解析した結果、ギャップ結合チャネル蛋白を構成するコネキシンは通常、ある程度燐酸化を受けていることがわかった。(3)網膜ニューロン間のギャップ結合はプロテインキナーゼを活性化する薬物投与によってコンダクタンスは減少した。
3. (1)Aキナーゼを活性化すると、電位固定下で測定された一過性Na^+電流の振幅は減少するが、活性化の電位依存性は変化することなしにNa^+電流の減衰過程が遅くなり、その結果、持続性Na^+電流が増大した。(2)Aキナーゼを活性化して、電流固定によってスパイク列の発生への影響を見た所、網膜神経節細胞から発生するスパイク列の頻度が著しく増大した。(3)これらのことから、Aキナーゼの活性化はNa^+電流を細胞内調節し、Na^+電流の調節は視覚情報がスパイク列にコード化される情報伝達の過程で重要であることが示唆され、網膜内介在ニューロンから網膜神経節細胞へのシナプス伝達では視覚情報の伝達効率が改善される可能性がある。
|
-
[Publications] Hidaka, S.and Ishida, A.T.: "Voltage-gated Na_+ current availability after step-and spike shaped conditioning depolarizations of retinal ganglion dells" Pflugers Archiv.-Eur.J.Physiol.436/4. 497-508 (1998)
-
[Publications] Hidaka, S., Nishikawa, C.and Miyachi, E.-I.: "Cyclic AMP supresses permeability of homotypic gap junctions between amacrine cells in retina from carp and goldfich." Society of Neuroscience Abstract. 24. 135 (1998)
-
[Publications] Hidaka, S., Yamauchi, M.Nishikawa, C., Miyachi, E.: "Connexin-subtype immunoreactivity in gap junction channels of several vertebrate retinae." Neuroscience Research, suppl.22. s62 (1998)
-
[Publications] Hidaka, S., Nishikawa, C.and Miyachi, E.-I.: "Intracellular modulation of gap junctions between retinal amacrine cells." Jpn.J.Physiol., suppl.48. s135 (1998)
-
[Publications] Miyachi, E.-I., Hidaka, S.and Hashimoto, Y.: "Modulation of gap junctional communication in retinal neurons by transmitters and second messengers." Jpn.J.Physiol.,suppl.48. s17 (1998)
-
[Publications] Miyachi, E.-I., Nishiwaka, C.and Hidaka, S.: "Gap junctions of horizontal cells show different sensitivity to to intraoellular cyclic AMP and cyclic GMP from those of amacrine cells in teleost retinas." Investigative Ophthalmology & Visual Science. 40 in press. (1999)
-
[Publications] Miyachi, E.-I., Hidaka, S.and Murakami, M.: "The Retinal Basis of Vision" Elsevier Science, B.V.(J.Toyoda, editor-in-chief)(in press), (1999)
