1999 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核-脚橋被蓋核投射系による筋緊張と歩行運動の統合制御様式
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10680758
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高草木 薫 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10206732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 純子 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40301999)
斉藤 和也 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20301997)
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Keywords | 基底核 / 脚橋被蓋核 / 脳幹網様体 / 姿勢筋緊張 / 歩行運動 / アセチルコリン作動系 / GABA作動系 |
Research Abstract |
本年度(平成11年度)は、姿勢筋緊張と歩行の統合的抑制に関わる基底核-脚橋被蓋核系の機能的役割の解明を試みた。実験には2種類の標本を用いた。一つは除脳ネコ歩行標本を用いた「運動行動の解析系」で、もう一方は基底核-脚橋被蓋核を含むラット脳幹スライスin vitro標本を用いた「上記神経回路の動作特性と神経伝達物質の解析系」である。得られた結果は以下の3点に要約される。 除脳ネコ歩行標本を用いた実験; (1)脚橋被蓋核を含む中脳外側被蓋には、歩行運動誘発領域と四肢の筋緊張の減弱領域が存在する。そして歩行運動は非コリン細胞の興奮、また筋緊張の抑制はコリン細胞の賦活により誘発されることがほぼ明らかになった。 (2)基底核出力核の一つである黒質網状部細胞の興奮は歩行運動を抑制し、かつ、筋緊張レベルを減弱させないことが明らかとなった。また、黒質網状部の中央部は歩行運動を、背外側部は筋緊張を各々制御する(基底核出力の機能的局在)可能性が示唆された。 ラット脳幹スライス標本を用いたin vitro実験; (3)黒質網状部から脚橋被蓋核のコリン細胞と非コリン細胞の双方に対して抑制性投射系が存在すること、そしてこの抑制過程はガンマアミノ酪酸(GABA)を伝達物資とするシナプス後抑制であることをを明らかにした。 上記の成績を総合すると「基底核は脚橋被蓋核を介して脳幹・脊髄に存在する歩行運動や筋緊張制御系の活動を修飾し、運動と筋緊張を統合的に制御する」と考えられる。基底核からのGABA作動系が、コリン作動系と非コリン作動系各々の活動をどの程度のバランスで調整するかがこの統合機構のKey point である。歩行動作や姿勢筋緊張の設定はヒトや動物の随意運動に付随する無意識の運動過程である。基底核疾患では歩行や筋緊張に異常が出現する。従って適切な随意運動の遂行過程には基底核-脚橋被蓋核投射系が多大な役割を担うと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takakusaki, K. et al.: "Projection from the basal ganglia to the reticular-"Neuroscience research. Spl.23. S-6 (1999)
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[Publications] Sugimoto, J. et al.: "Effects of cholinergic agents microinjected into--"Japanese Journal of Physiology. in press.