1999 Fiscal Year Annual Research Report
小脳核ニューロンポピュレーションによりコードされる眼球運動調節信号
Project/Area Number |
10680759
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩本 義輝 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (50184908)
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Keywords | 小脳 / 眼球運動 / サル / サッケード |
Research Abstract |
前年度の研究により、霊長類室頂核の不活性化後のサッケードの障害は、ゲインの変化であることがわかった。本年度は、サッケード異常の神経機構を調べた。上記の結果に基づき、「1)室頂核バースト活動は、網様体を介して運動ニューロンのバーストを変化させる。2)不活性化後のサッケードの誤差は、室頂核のバースト活動の欠落が原因である。」との作業仮説を立てた。仮説によれば、不活性化後の最終水平網膜誤差は、ニューロンが正常状態で示すであろうバーストの大きさを忠実に反映するはずである。その検証のため、生じる誤差が大きい注入側(あるいは記録側)へのサッケ-ドを選び、解析対象とした。実験にはアカゲザルを用いた。視覚性サッケードに関連したバースト活動を示す室頂核ニューロンを記録し、これらが記録される部位にムシモールを注入した。 正常動物において、室頂核ニューロンのバースト内のスパイク数を初期水平網膜誤差に対してプロットすると、両者間に正の相関があった。また、バースト内のスパイク数は初期垂直網膜誤差にも依存した。即ち、スパイク数と初期垂直網膜誤差の間に正の相関があった。以上の結果、室頂核ニューロンのバースト活動は水平および垂直方向の初期網膜誤差に依存することが明らかになった。仮説によれば、不活性化後の最終水平網膜誤差にも同様の初期網膜誤差依存性があるはずである。そこで、解析したニューロンの記録部位ヘムシモールを注入し、注入側へのサッケードの最終水平網膜誤差(オーバーシュート)と初期網膜誤差との相関を調べた。最終水平網膜誤差は、初期水平網膜誤差と正の相関を示した。また、最終水平網膜誤差と初期垂直網膜誤差の間にも正の相関が認められた。以上より、正常室頂核ニューロンのバーストの強さと不活性化後の最終水平網膜誤差は、よく似た初期網膜誤差依存性を示すことが明らかになった。これは、上記の仮説を支持する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Iwamoto,Y.: "Saccadic overshoot following fastigial nucleus inactivation depends on retinal error in monkey."Soc. Neurosci. Abstr.. 24,2. 1652 (1999)
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[Publications] Iwamoto,Y.: "Nature of saccade dysmetria after muscimol injection in the primate fastigial nucleus is consistent with the IBN hypothesis."4th International Symposium on the Head/Neck System Abstracts. 66 (1999)
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[Publications] Iwamoto,Y.: "Effects of inactivation of the fastigial oculomotor region on saccade accuracy in the monkey."Neural Control of Movement Meeting Abstracts. 4. 0-6 (1999)
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[Publications] Yoshida,K: "Saccade-related inhibitory input to pontine omnipause neurons: an intracellular study in alert cats."J. Neurophysiol.. 82. 1198-1208 (1999)
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[Publications] Perlmutter,S.I.: "Spatial alignment of rotational and static tilt responses of vestibulospinal neurons in the cat."J. Neurophysiol.. 82. 855-862 (1999)
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[Publications] Chimoto,S.: "Projections and firing properties of down eye movement neurons in the interstitial nucleus of Cajal in the cat."J. Neurophysiol.. 81. 1199-1211 (1999)