1999 Fiscal Year Annual Research Report
錐体細胞におけるカルシウム依存性脱分極スパイク後電位の長期増強の誘導
Project/Area Number |
10680765
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
姜 英男 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50177755)
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Keywords | 記憶・学習 / ガンマ帯脳波 / 高頻度律動発火 / カルシウム依存性 / 脱分極性スパイク後電位 / 大脳皮質 / カチオン電流 / 錐体細胞 |
Research Abstract |
脳波のγ-band成分は、機能円柱ニューロン群の活動を周期的(20-70Hz)に同期化する時に発現し、統合概念の形成や短期記憶情報の再現に関与するとされている。視覚野でのγ-band波は、単一細胞レベルでの高頻度バースト発火の周期的発現と同期して現れ、個々のバーストは300Hz以上で発火する2-5発のスパイクより成り、バースト間間隔は15-50ms(20-70Hz)であると報告されたが、細胞外記録のため、バースト発火を担う内因的膜特性は不明であった。一方、研究代表者は、単一発火パターンしか示さない錐体細胞が、強い脱分極通電の反復刺激により、脱分極性スパイク後電位が増強され、それに伴い、周期的な高頻度バースト発火を示すようになることを初めて報告した。引き続き、バースト発火の基盤となる脱分極性スパイク後電位のイオン機序についての研究を行い、脱分極性スパイク後電位が、Ca^<2+>依存性のカチオン電流により担われていることを初めて明らかにした。さらに、その増強機構についての研究をおこない、以下のことを明らかにした。リチウムとムスカリンの共同作用、或いはカフェインにより細胞内カルシウム・ストアーからのカルシウム放出が生じ、その結果CaM KIIが活性化され、それによりカチオン・チャネルのCa^<2+>感受性が増大し、バースト発火が引き起こされるという結論を得た。こうしたガンマ帯脳波発現に関与する発火機構の解明は、シナプス伝達におけるLTPやLTDとは異なる新しい次元から、認知や記憶のメカニズムの解明に寄与するものである。
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[Publications] Y.Kang: "Arrhythmic firing in dopamin neurons of rat substantia nigraevoked by aditvation of subthalamic neurons"Journal of Neurophysiology. 82. 1632-1637 (1999)
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[Publications] T.Okada: "Li^+ and muscarine cooperatively enhance the cationic tail current in rat cortical pyramidal,cells"European Journal of Neuroscience. 11. 2397-2402 (1999)
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[Publications] Y.Kang: "Trans-syrapticlly induced bursts in regular spiking non-pyramidal alls in deep layers of the cat motor cortex"Cerebral Cortex. 9. 77-89 (1999)