1999 Fiscal Year Annual Research Report
再興寄生虫・エキノコックスの代替終宿主モデルを用いた寄生環境の解析とワクチン開発
Project/Area Number |
10680772
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
神谷 正男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30081665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 成晃 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (50281853)
奥 祐三郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (60133716)
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Keywords | エキノコックス / 多包条虫 / 代替終宿主 / 宿主寄生虫関係 / フォーゲル包条虫 / モデル / 人獣共通感染症 / 人獣共通寄生虫 |
Research Abstract |
多包条虫の代替終宿主ゴールデンハムスターにおける防御免疫応答を観察するため、再感染実験および経口免疫実験を行った。 まず、再感染実験では再感染群を3群設け、チャレンジ感染前に免疫感染を1回、1週おきに3回、cholera toxinとともに1週おきに3回行った。免疫感染時に虫体が定着したことの確認は糞便内抗原価の上昇により確認し、駆虫を行った後、チャレンジ感染、その3日後に剖検した。初感染群に対する各再感染群のチャレンジ感染後の回収虫体数は顕著に少なかった。また、各種抗原に対する血清IgG、IgAおよび腸管内洗浄液中のIgA抗体価の上昇が認められた。回収虫体数と腸管洗浄液中のIgA抗体価を比較したところ、ELISAのOD値が0.6を越える個体はすべて回収虫体数が少なかった。ウエスタンブロッテイング法による解析では、血清IgGおよび分泌型IgA抗体が各種抗原に共通した抗原分子を認識し、特に成虫虫体抗原において38kDaのバンドに強い反応が見られ、同じバンドが原頭節抗原においても検出された。また、51kDaのバンドが成虫虫体抗原と排泄分泌抗原に見られた。 経口免疫実験では、アジュバントにcholera toxinを用いて、成虫および原頭節虫体抽出抗原ならびに成虫排泄分泌抗原で免疫を行った。しかしながら、初感染群と経口免疫群のチャレンジ感染後の回収虫体数に差は認められなかった。また、どの抗原で免役した群も、成虫排泄分泌抗原に対する血清IgG抗体価の上昇のみが観察され、腸管内洗浄液中のIgA抗体価の上昇はみられなかった。 以上、多包条虫再感染時に回収虫体数の顕著な減少が観察され、代替終宿主における再感染防御と多包条虫虫体抗原に対する全身の血清IgGおよびIgA応答ならびに局所における腸管内IgA応答との関連が示唆された。
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[Publications] Matsuo, K.: "Dose dependency of prednisolone tertiary-butylacetate (PTBA) treatment on the establishment and site prediction of Echinococcus multilocularis in an alternative definitive host model using Mongolian gerbil (Meriones unguiculatus)"Parasitology Research. 86(未定). (2000)
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[Publications] Matsuo, K.: "Development and sexual maturation of Echinococcus vogeli in an alternative definitive host, Mongolian gerbil (Meriones unguiculatus)"Acta Tropica. 45(未定). (2000)
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[Publications] Matsuo, K.: "Dose dependency of predonisolone on the establishment of Echinococcus multilocularis infection in an alternative definitive host, Mongolian gerbil"Japanese Journal of Veterinary Research. 47・3-4(未定). (2000)
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[Publications] KAMIYA, M.: "エキノコックス症"臨床医. 25・2. 202-203 (1999)
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[Publications] KAMIYA, M.: "エキノコックス症"カレントテラピー. 17・2. 94-98 (1999)
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[Publications] KAMIYA, M.: "日本における寄生虫学の研究 第7巻 エキノコックス(1)生物学"目黒寄生虫館. 684 (1999)