1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680775
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 晴次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10161366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 泰弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80109975)
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Keywords | カニクイザル / ラット / 神経細胞 / 初代培養 |
Research Abstract |
1 大脳皮質神経細胞の初代培養を目的としたラット胎児脳組織の凍結保存条件の検討 凍結前処理としては、大脳半球の状態もしくはパパイン消化後の単個細胞で保存するよりも脳組織を細切した方が効率がよかった.DMSO10%含有培養液を凍結保存液とし、簡易フリージングコンテナで緩速凍結(約-1℃/min)することにより良好な結果が得られた.解凍後、パパイン消化以降の操作中は氷冷するよりも酵素処理温度と同じ32℃に保つ方が効果的であった.今回検討した範囲では以上の方法を組み合わせることにより最も効率よく安定した培養系を得ることができ、対照として用いた新鮮脳組織からの分離細胞数の約20〜30%の細胞を培養することが可能であった.各種マーカーを用いて初代培養を評価した結果、新鮮材料と凍結材料の間にほとんど差は認められなかった. 2 87日齢カニクイザル胎児大脳の組織学的観察 分子層では細胞密度が低く、皮質板を形成する細胞の核は円形〜類円形、いびつで外層へ行くほど形状がゆがんでいた.中間層では、細胞密度が低く、核の形状は円形が主体で多少類円形〜楕円形の比較的大型の核が見られた. 脳室下層、脳室層では細胞密度が高く、核は大型で不定形であった.抗GFAP抗体による免疫染色では皮質板において陽性の突起が脳室側から髄膜側へ放射状にみられ、皮質に沿う方向への突起は少なかった.中間層では放射状にのびる突起とそれらを橋渡しするように皮質に沿う方向に突起がのびて格子構造を成していた.脳室下層および脳室層では網目状の構造がみられたがとくに規則性は認められなかった.最内層(神経上皮)の部分が単層性に最もGFAP強陽性であった.抗MAP-2抗体では分子層と神経上皮が強陽性であり、皮質板では外側ほど多くの細胞が陽性であった.しかし全層において抗GFAP抗体による免疫染色に比べると弱陽性で、規則的な構造はみられず非常に微細な網目状の構造を成していた.
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