1999 Fiscal Year Annual Research Report
野生由来近交系統マウスを用いた高次脳機能に関わる行動の多様性の解析
Project/Area Number |
10680782
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小出 剛 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (20221955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
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Keywords | 野生マウス / 行動遺伝学 / マイクロサテライトマーカー |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、野生マウスに由来する8系統(BFM/2,NJL,BLG2,HMI,CAST/Ei,KJR,SWN,MSM),日本産愛玩用マウスに由来する系統(JF1)と一般的な近交系統2系統(C57BL/6J,DBA/1)を用いて自発運動性、情動性、学習記憶能力などの行動解析を行った。その結果、行動には野生由来系統間で大きな多様性があることが分かった。このような系統間での行動パターンの違いをもたらす遺伝子を探索するためには遺伝学的解析が不可欠である。遺伝的解析の第一段階として、今回行動解析を行った系統について遺伝的マイクロサテライトマーカーの多型性を解析した。方法としては104遺伝子座のマイクロサテライトマーカーをPCR増幅した後、SSLP法により解析し、全系統の総組み合わせで各々の多型頻度を解析した。その結果、共に実験用系統であるC57BL/6とDBA/1系統、共に日本産マウスであるJF1とMSMの二つの組み合わせでは、多型頻度が50パーセント以下になり、遺伝的に非常に近いことが分かった。しかし、実験用系統と日本産マウス系統の間ではどの組み合わせにおいても多型頻度は80パーセントを超え、遺伝的に異なっていることが分かった。更に、韓国産マウス系統のKJRとSWN、それに日本産マウス系統のJF1とMSMの合計4系統は多型頻度が70パーセントかそれ以下で、遺伝的には近いグループに属することが分かった。これまでに、野生由来マウス系統を用いて、行動の多様性とマイクロサテライトマーカー遺伝子座の多様性を明らかにしてきた。現在、これらの情報を用いたマウス行動の遺伝学的解析を進めている。
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[Publications] Koide et al.: "A new inbred strain JF1 established from Japanese fancy mouse carrying the classic piebald allele"Mammalian Genome. 9. 15-19 (1998)
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[Publications] Sato, Koide, Sagai, et al.: "The genomic organization of type 1 keratin genes in mice"Genomics. 56. 303-309 (1999)