1998 Fiscal Year Annual Research Report
インド密教における死の看取り mrtyuvancanaの思想と儀礼に関する研究
Project/Area Number |
10710006
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
桜井 宗信 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (30292171)
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Keywords | インド密教 / 死 / 密教儀礼 / mrtyuvancana / Mrtyuvancanopadesa / Vagisvarakirti |
Research Abstract |
1 Vagisvarakirtiが著したMrtyuvancancanopadesa(以下MU)の梵文写本の所在を内外の研究機関に亘って検索しその総数が5本であることを明らかにしたうえ,それらの複写をマイクロフィルムの形式で入手した。 2 上記5写本,及び対応するチベット語訳(デルゲ・北京・ナルタン・チョーネの4版を使用)を比較・校合して,MUの梵蔵校訂テクストを整定し,その解読を進めた。その結果,特に第3章が,mrtyuvancana思想の一展開系として後代流布したMrtyuvancana-Taraと深い関係を有することが判明し,次年度に予定している主要課題の一つ「Mrtyuvancana-Tara成就法の考察」に向けた重要な指針を得た。 3 MUの思想的基盤の一つとされるCatuhpithatantraが,mrtyuvancana以外にどのような応用形態を有するか確かめて同思想の特徴をより明確にするべく,Aryadevaに帰される『Catuhpitha曼茶羅儀軌』を資料に定めてその梵文写本に基づいた内容考察を進めた。更に,MUの今一つの基盤と目されるVajradakatantraに関しても見在が確認されている梵文写本2本の複写を入手し,文献解析の基礎作業に着手した。 4 mrtyuvancana思想の母胎である後期インド密教の基本的性格を探る目的で,それと深い関係を有するsamvara流儀の念誦儀礼を考察し,結果を印度学仏教学会において発表のうえ論文に纏めて公表した。
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