1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710025
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
関根 道昭 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助手 (10301178)
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Keywords | 空間的注意 / テクスチャー分離 / 視野 |
Research Abstract |
視覚系における注意は、視野の中に存在する莫大な量の情報の中から、必要な情報を選択する機能であり、視野空間における選択的注意を空間的注意と呼ぶ。本研究は、空間的注意の様相を計測し、模式的に表現することを目的としている。申請者はこれまで、空間的注意と“テクスチャー分離"の関係を研究してきた。“テクスチャー"とは様々な小さなパターン(要素)が繰り返し並んで構成された面である。要素が異なるテクスチャーの境界を検出する視覚機能を“テクスチャー分離"という。申請者はこれまでに、ある種のテクスチャー分離の検出に、注意が大きく関与していることを示した。 本研究では、検出可能なテクスチャー・ターゲットの位置には空間的注意が分布していると判断し、テクスチャー分離に及ぼす時間的、空間的要因の相互作用から空間的注意の時間的、空間的特性を調査した。第1実験では、広い視野におけるテクスチャー分離に及ぼす刺激観察時間の影響を検討した。68ms、119ms、221msの持続時間でテクスチャー刺激が提示された後、マスク刺激が提示された。その結果、‘Tと斜めT'のテクスチャー分離は、非常に短い観察時間でも検出可能であり、中心窩から半径約25度の視野領域でほぼ一定の高水準の成績を示した。一方、‘TとL'のテクスチャー分離は、観察時間の長さに依存して検出率が大きく増減し、検出は周辺視野から開始されることが分かった。第2実験では、背景テクスチャーのサイズが操作され、被験者が周辺視野を監視する必要を低減させた条件を設定した。その結果、‘TとL'の条件で中心視野の検出率が低下する傾向は、背景テクスチャーの面積が非常に大きい条件に限られることが分かった。これらの結果から、被験者が広い視野の範囲を監視する必要がある場合、空間的注意は、視野中心部よりも周辺部に対して重点的に配分されると言う新しい知見が得られた。
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Research Products
(2 results)