1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710031
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (40243977)
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Keywords | Pulfrich効果 / 運動知覚 / 立体視 / 窓枠問題 |
Research Abstract |
Pulfrich効果を用いて、見えの運動方向と奥行き知覚の関係を調べた。円形の窓枠内に提示された斜め線を動かした。左眼に対しては1/10に輝度を落としてPulfrich効果を発生させた。斜め線の運動方向の見えは曖昧なので、ランダムドットをスーパーインポーズすることにより、見えの運動方向を補足させた。その結果、斜め線が水平方向に動くように見える場合に最も奥行き効果が大きく、垂直方向に動くように見える場合にはほとんど奥行き効果が得られなかった。この結果はランダムドットの疑似的な視差が斜め線の曖昧な視差の方向(立体視における窓枠問題)を補足した可能性があるので、ランダムドットを右眼のみに提示して再度実験を行った。結果は、知覚的な運動方向にかかわらず、Pulfrich効果は常に最大であった。これらの結果から、運動における窓枠問題と立体視における窓枠問題は独立して解決されることが示唆された。斜め線の立体視における視差の方向の曖昧さは、運動におけるのと同様、特定の方向の視差をもつランダムドットをスーパーインポーズすることによって補足することができることを、静止したステレオグラムによっても確認した。また、縦長の窓枠における斜め線の運動によって生じるPulfrich効果は、中央付近では小さく、上下にある水平方向の縁付近では大きくなる。この場合においては、運動における線のエッジと立体視における線のエッジが同じ属性、つまりintrinsicなものとして処理されていることを示唆し、水平の枠付近では水平視差、垂直の枠付近では垂直視差による補足が優勢であるものと思われる。
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