1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710037
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小山 康正 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (20281678)
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Keywords | 左半側空間無視 / 線分二等分 / 空間認知障害 / 空間性記憶 |
Research Abstract |
本研究では左半側空間無視患者の線分二等分過程を詳細に検討するため、タッチパネルおよび視覚刺激呈示装置を用いた認知遂行課題を実施した。 昨年度実施した研究課題を改良の上、左半側空間無視患者および健常成人のデータを収集し、分析を行った。課題はタッチパネル上に呈示される黒い点の位置を記憶する課題、および線分二等分課題であった。黒い点の位置を記憶する課題では、画面左側3点、中央、右側3点の位置にφ5mmの黒い点を呈示し、その点に触れることで位置を記憶させた。2秒の閉眼・遅延後に何もない画面上にその位置を指し示すことで記憶を再生させた。線分二等分は点の位置に対応する長さの線分を呈示し、二等分点に触れることで印をつけさせた。線分二等分課題では健常成人は正確に二等分が可能であり、左半側空間無視患者では線分の長さに応じて二等分点が右方に偏ることが確認された。点の位置の記憶課題では、健常成人においてはほぼ正確であるのに対して、左半側空間無視患者では画面右側に呈示された点の再生が左方に偏る傾向が認められた。しかし、その偏りの大きさ自体は線分二等分課題で認められる二等分点の偏りに比較して、ごく小さいものであった。 従来の検討では左方向へ向かう運動並びに左半側空間での運動が左半側空間無視において障害されると考えられている。しかし、今回の検討では右半側空間における認知反応課題でも障害が観察された。線分二等分過程そのものに影響を及ぼすものではないと考えられたが、その意義と障害発現のメカニズムについてはさらに検討を要する課題と考えられる。さらに本研究全体を通して、左半側空間無視患者の線分二等分過程は運動の障害による影響よりも、知覚・注意の障害による影響が強いと示唆された。
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