1998 Fiscal Year Annual Research Report
思春期における親子関係の構造とその変容に関する縦断研究-行動観察法による家族コミュニケーションの分析を中心に-
Project/Area Number |
10710045
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平石 賢二 三重大学, 教育学部, 助教授 (80228767)
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Keywords | 思春期・青年期 / 親子関係 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは思春期・青年期における親子関係の構造が加齢と共にどのように変容していくものか検討することを目的としている。親子関係の構成をとらえるための方法としては、Grotevant L Cooper(1985,1986)などによって開発された家族相互作用課題と発話分析のためのコーディングマニュアルを使用する。この課題は親子で家族旅行の計画を立てるために討議し、集団意思決定を行うものである。 現時点では研究の予備的段階として、大学生とその両親を対象にしてその課題を実施し、三者の家族コミュニケーションの構造を探索的主成分分析と階層的クラスター分析によって検討した。結果として家族相互作用課題におけるコミュニケーションの機能は「浸透性」「自己表明」「分離」の3つに集約することができた。また、親子三者が示すそれらの3つのコミュニケーション機能の発言量を親子関係の特徴を表す変数としてみなし、主成分分析を行ったところ「家族分離性」「父親主導性」「青年主導性」の3つの成分を抽出した。さらにこれら3つの変数の得点をもとにして階層的クラスター分析を行ったところ4つの親子関係の類型(クラスター)が確認された。 4つのクラスターは「家族分離性」得点の高低によって大きく2群に分類できた。高分離群は「父親の浸透性と青年の自己表明が顕著である親子」と「青年の浸透性と母親の自己表明が顕著な親子」とに分けられ、低分離群は「青年の浸透性と父親の自己表明が顕著な親子」と「母親の浸透性と青年の自己表明が顕著な親子」とに分けられた。この研究知見に基づいて引き続き中学生とその両親を対象に家族相互作用課題を実施し、親子関係の構造の違いを比較検討する予定である。また、縦断的に実施し、加齢に伴う関係の変化があるかどうかを検討することも残された課題である。
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Research Products
(2 results)