1999 Fiscal Year Annual Research Report
セルフ・コントロールにおける抑制的アプローチと積極的アプローチ
Project/Area Number |
10710049
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
大河内 弘子 (杉若 弘子) 奈良教育大学, 教育学部, 文部教官助教授 (90257171)
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Keywords | セルフ・コントロール / 抑制的アプローチ / 積極的アプローチ / 行動コスト |
Research Abstract |
"自発的な問題設定により、当座は自らにストレス事態を課してでも、後の報酬を獲得しようとする"改良型セルフ・コントロールは、2方向からのアプローチによって実行可能である。目標を達成するまでの期間に特定の行動を抑制するアプローチ(抑制的アプローチ)と、望ましい行動を大いに実行する積極的なアプローチ(積極的アプローチ)である。本研究では、改良型セルフ・コントロールの2つのアプローチに及ぼす目標達成確率(どの程度の割合で目標を達成できるか)と行動コスト(目標を達成するために必要な行動)の影響を検討した。被験者は、改良型セルフ・コントロールの行動レパートリーが多い者(H群;n=37)と少ない者(L群;n=27)計64名であった(スクリーニング対象者:253名(男性91名、女性162名))。試験準備期間とダイエットを背景場面とし、場面別に、目標を達成するための2つのアプローチ(試験準備期間では余暇・睡眠時間の制限と試験勉強、ダイエットでは食事制限と運動)をどの程度確実に実行できるかを評価させた。目標達成確率は、100%、70%、50%、30%、1%の5水準、行動コストはアプローチ内容に合わせた5水準を設定した。その結果、(1)L群では、目標達成確率が100%であっても、行動コストが大きくなると実行度が低下してしまうこと、(2)H群では、目標達成確率が100%であれば、行動コストが大きくなっても実行度の低下は少ないこと、(3)H群には目標達成確率、L群には行動コストが改良型セルフ・コントロールの実行度により強く影響すること、が明らかになった。以上の結果は、行動レパートリーの多い者は、多少行動コストが大きくなっても、100%の目標達成を目指したセルフ・コントロールに取り組むことが可能であるが、これとは反対に、行動レパートリーの少ない者には、実行可能な行動コストから順次取り組ませる必要があることを示唆するものである。
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[Publications] 杉若弘子: "調整型セルフ・コントロールの実行を決定する要因-行動レパートリーと状況要因の検討-"日本行動療法学会第25回大会発表論文集. 114-115 (1999)
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[Publications] 杉若弘子,大河内浩人: "遅延と努力のdiscounting function"日本行動分析学会第17回年次大会発表論文集. 126-127 (1999)
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[Publications] 河合伊文(監訳): "科学と人間行動"二瓶社(印刷中). (2000)