1998 Fiscal Year Annual Research Report
発達年齢2歳の知的発達障害児における自己-他者認識の分化過程-縦断的研究-
Project/Area Number |
10710050
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
寺川 志奈子 鳥取大学, 教育学部, 助教授 (30249297)
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Keywords | 自己認識 / 他者認識 / 知的障害児 / 発達年齢 / 縦断研究 / 自他の分化 / 2歳 |
Research Abstract |
本研究では,発達年齢2歳の知的発達障害児において示された自己一他者の領域分化群4名と未分化群5名が,それぞれどのように自己と他者についての認識を分化させ,両者の関係性を発展させていくかについて,積木構成課題,描画模写課題に対する取り組みのプロセスの分析から,縦断的に検討し明らかにすることを目的とした。本年度は,特に,積木構成課題や描画模写課題において把握された“モデルの積木に自分の積木をくっつける"などの自他の認識の未分化な行為が,認知発達など発達の他の諸側面とどのように関連しながら,どのような発達的変化を示すのかについて,前回の実施からおよそ1年後の実験によって,縦断的に明らかにした。その結果,自他の領域の分化過程と認知発達との関連について以下の点が指摘された。第1に,積木構成課題「トラックの模倣」にみられる非対称的な2次元的構成能力は,自他の領域の分化過程に先行して発達することが示され,自他の領域の分化レベルと構成能力のレベルとの間に関連があるとは考えにくかった。第2に,「円模写」「十字模写」にみられる描画能力につていも,他の項目に比べて前回からの伸びが大きく,自他の領域の分化レベルとの関連があるとは考えにくかった。一方,描画方略の獲得については,自他の領域の分化レベルとの関連が示された。これらの研究成果は,「発達年齢2歳の知的発達障害児における自己-他者領域の分化過程-縦断的研究I-」(鳥取大学教育学部教育実践研究指導センター研究年報第8号)にまとめた。現在,3年目の実験を実施中であり,自己-他者認識の分化過程について,引き続き縦断的に明らかにしていく計画である。
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Research Products
(1 results)