1998 Fiscal Year Annual Research Report
異文化適応のための臨床社会心理学的介入方法としての異文化間ソーシャル・スキル学習
Project/Area Number |
10710053
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 共子 岡山大学, 文学部, 助教授 (40227153)
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Keywords | ソーシャル・スキル / 異文化適応 / 臨床社会心理学 / 心理教育 |
Research Abstract |
従来の異文化適応のための介入は、「医学モデル」的な対症療法が主であるが、本研究では、「心理教育モデル」に基づいて異文化適応能力を向上させる、予防的介入のための方法の開発を試みた。具体的には、在日外国人にとって異文化環境下において必要なソーシャル・スキルを明らかにし、それを学習させるものである。 今年度は少人数構成による介入実験を企画し、ソーシャル・スキルを学習できるプログラムを、ショートセッション形式で開発することを主たる目的とした。 プログラム構成は、筆者らが留学生を対象とした心理教育領域で提唱してきた、WAKSASモデルに基づくものである。そのパーツとしては、ウオーミングアップ、文化的気づき、困難事例の検討を利用した認知的学習、ロールプレイによるソーシャル・スキル実習を組み込んだ。これは、1.セッション導入のための準備にウオーミングアップが有効であること、2.自文化の規定性に気づくことが異文化学習への動機付けになること、3.行動レベルの学習に先立って認知的枠組みが再体制化されている必要があること、4.行動レベルの学習は抽象化されるより具体的場面で行われた方が実効性を伴うこと、5.要領を聞くだけではなくて、段階的に課題を設定してロールプレイによって実習することが行動学習に効果的であること、といった理由によるものである。 セッション後には評定法および自由記述を用いて、参加者の反応について整理した。異文化接触に関して肯定的な認知が芽生え、現実場面における学習の動機付けが高まっていた。今回得られた結果は次年度に企画している長期間の介入、すなわちロング・セッションの指導の工夫やテキスト構成に生かす予定である。
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