1998 Fiscal Year Annual Research Report
音声における韻律的特徴の聴取能力測定を目的としたテスト開発のための基礎研究
Project/Area Number |
10710073
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Research Institution | National Center Test for University Admissions |
Principal Investigator |
内田 照久 大学入試センター, 研究開発部, 助手 (10280538)
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Keywords | 音声 / 韻律的特徴 / 話速変換技術 / 主観的ピッチ / 性格印象 |
Research Abstract |
音声中の韻律的特徴の聴取能力測定のための基礎研究として、平成10年度は音声の発話速度が、聞き手側の主観的ピッチ感および話者の性格印象に与える影響に関して重点的に研究が行われた。 近年、話速変換技術が実用化されつつある。この技術は声の高さを変えることなく、話者の個人性の情報も保存したまま発話速度を制御することを可能にしている。今回、この新しい技術を聴覚心理実験の刺激作成に応用し、音声の発話速度が聞き手の聴覚印象に与えるバイアスを測定した。 (1) 音声の発話速度が主観的ピッチ感に与える影響 Exp.1ではPICOLA方式で話速を制御した音声刺激に対して、評定尺度法によって主観的ピッチ感と発話速度感の測定を行った。その結果、発話速度の上昇に伴って、ピッチが高く認知されることが示された。Exp.2ではさらに異なる3種類の話速変換方式で作成した刺激を用いて実験を行い、Exp.1と同様の結果を得た。さらにExp.3では、STRAIGHT分析合成方式によって音声の基本周波数を直接操作し、そのピッチ感を測定した。そして、その評定値を媒介変数に発話速度が主観的ピッチ感に及ぼすバイアスを推定した。 現在、この結果をまとめ、平成11年9月の日本心理学会で発表の予定である。 (2) 音声の発話速度が話者の性格印象に与える影響 音声の韻律的特徴である発話速度が話者の性格印象に与える影響を検討した。話速を操作した音声刺激に対し、性格の5因子論に基づいた評価項目を用いて測定を行った。その結果、聞き手は発話速度を操作した刺激に対して,5因子もしくは3因子の独立した内的な印象評価を行っていることが見出された。そして、速い発話では調和性の性格印象が低下し、逆にゆっくりした発話では外向性、経験への開放性、及び誠実性での印象の低下が見出された。 これらの結果については、平成11年8月の日本教育心理学会で発表の予定である。
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