1998 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健福祉計画の策定と実施が自治体財政に与える影響に関する実証的な比較研究
Project/Area Number |
10710092
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
よし原 雅昭 大阪府立大学, 社会福祉学部, 講師 (30264823)
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Keywords | 老人保健福祉計画 / 自治体間格差 / 市町村財政 / 在宅福祉 / ホームヘルプサービス / デイサービス |
Research Abstract |
大阪府下の44市町村における、1998年3月時点での老人保健福祉計画の進捗状況を調べると、主要事業のうち、特別養護老人ホームの建設、デイサービス、ショートステイの3事業については、ごく一部の自治体を除いて目標巣順を達成しつつあるが、在宅福祉事業の核となるホームヘルプについては、全般的に実施状況が低調となっている。そこで、各自治体の老人保健福祉計画に定められたホームヘルプ事業の「目標水準」と、1998年時点での「達成率」の分析にもとづいて任意に4自治体を抽出し、1985年以降の予算、事業実績、決算などの統計を、経年的に分析した。抽出した自治体は、(1)目標水準と達成率がともに高い枚方市、(2)目標水準は低いが97年度の時点で目標量を超える事業実績をあげた河内長野市、(3)目標水準は高いが達成率の低い藤井寺市、(4)目標水準、達成率ともに低い貝塚市である。いずれの自治体も、老人保健福祉計画の策定以前と以後では、老人福祉事業、ことに在宅福祉サービスをめぐる財政の構造がさまざまな点で異なっている。しかしながら、より詳細に見ると、4自治体間には、さまざまな差異が見られる。さまざまなデータ分析の結果を関連づけると、いくつかの説明仮説をつくることができる。例えば、ホームヘルプサービスの実施構造(利用者へのサービス提供のあり方)を大胆に変革した枚方市では、特別養護老人ホームの入所者の増加や、それに要する財源の増加をかなり抑制することができたのに対し、藤井寺市などでは、特別養護老人ホームへの入所者と、それらに要する財源の急激な伸びが見られる。次年度の研究は、このような差異について、自治体財政の全体的な構造、国や大阪府による補助金との関係、市町村における予算編成過程、サービス提供組織との関係、などに焦点を当てながら、より詳細に検討を加える予定である。
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Research Products
(1 results)