1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710094
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
大友 由紀子 十文字学園女子大学, 社会情報学部, 講師 (00286121)
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Keywords | 世代間関係 / 親子関係 / 家の継承 / 直系制家族 / 家族変動 / パネル調査 / 家規範 / 財産継承 |
Research Abstract |
都市化やプライヴァシー意識の高まりによって、近年、家族調査の実践は難しくなってきている。そこで本研究では、森岡清美の指導により、1966年から1997年までの31年間6時点において行われた、山梨県勝沼町の100余りの直系制家族を対象にしたパネル調査(「勝沼調査」)の蓄積データをもとに、成人子とその親との世代間関係を実証分析した。勝沼調査の対象は、勝沼町の主要5地区で、初回のパネルの時、親夫婦・子夫婦同居の完全直系家族で、子夫婦の夫の生年が1921年(大正10)から1935年(昭和10)までの108世帯である。初回の調査より30年以上が経過した今日、これらの対象世帯は直系制家族の再生産段階にある。農村の直系制家族は、単なる家族集団ではなく、あととりによって継承されるべき家産や家名を含む社会制度であり、ここでの成人子とその親との関係は、家系の継承の側面から捉える必要があった。 この農村直系制家族と比較研究するために、平成9年から同10年にかけて埼玉県新座市新座1丁目で実施した都市家族調査の対象者788人について、成人子とその親との世代間関係を追調査し、分析した。調査地は、昭和30年代から同40年代にかけて造成された東京近郊のベットタウンであり、入居第一世代は、昭和30年代、同40年代に結婚し、核家族を形成した昭和10年代生まれが主である。現在町内に居住する入居第一世代の男子の3割は長男で、7割が次三男以下であった。きょうだい数は3人から6人に集中しており、ちょうど勝沼調査の対象となった農村直系制家族の子夫婦の夫の弟たちに相当する。彼らの居住期間は20年以上に及び、持ち家率は97%で定住意識も高く、その子世代も、地域でのつきあいを続けることへの肯定的な態度や定住意識がみられた。 都市家族の財産継承と家規範、農村家族の家規範とは別の財産継承についての研究が今後の課題となった。
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Research Products
(1 results)