1998 Fiscal Year Annual Research Report
盲ろう疑似体験を用いた障害理解と特殊教育教員養成カリキュラムへの応用に関する研究
Project/Area Number |
10710118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福島 智 金沢大学, 教育学部, 助教授 (50285079)
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Keywords | 盲ろう疑似体験 / 盲ろう児教育 / 盲ろう者福祉 / 盲ろう者のリハビリテーション / 重複障害児教育 / 共感的理解 / シミュレーション体験 / 教員養成カリキュラム |
Research Abstract |
平成10年度においては、本研究遂行上必要な基礎的資料の収集・調査、及び予備的な研究を行った。すなわち、文献研究の他、「盲ろう疑似体験(以下、「疑似体験」と記す)」のセッションを4回(述べ参加者数約120人)実施した。対象者は、金沢大学教育学部の障害児学校教員養成課程の学生、及び石川県内在住の盲ろう者福祉に関心を寄せる市民(一部学生も含む)である。 1. 関連する先行研究・資料の調査を行った。その結果、論文等の形でまとめられている文献は、きわめて少ないものの、ここ1、2年、盲ろう者福祉の進展をめざす市民運動の高まりに伴い、全国各地で「疑似体験」の試みが自主的になされつつあることがわかった。この意味からも、本研究の意義を再確認することとなった。 2. 実際のセッションの中で、参加者に異なる条件を設けることなどを通して、「疑似体験」を行う上での基礎的な条件、すなわち、視覚と聴覚を人為的に遮断し、盲ろう状態よりリアルにシュミレートするための有効な方法や使用する装置類・道具の活用法等に関して検討を行った。 3. 「疑似体験」のより効果的な実施手順を検討した。すなわち、疑似体験する「課題」の内容やシチュエーションの設定、「盲ろう者役」と「介助者役」の役割分担のあり方など、セッション実施上の諸条件に関する具体的研究を行った。 4.各セッションやその後の参加者とのディスカッション等を通して、「疑似体験」がもつ多角的で、創造的な意義の可能性を探った。その結果、「疑似体験」は、「盲ろう」の状態についてだけでなく、単一の「盲」や「ろう」の障害とのサポートのあり方に関しても、とりわけ、コミュニケーションと移動の問題を考える上で大変示唆的であることが明らかとなった。
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