1998 Fiscal Year Annual Research Report
教育実習における教育学部生の学習と体験の意味構造に関する現象学的研究
Project/Area Number |
10710123
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
紅林 伸幸 滋賀大学, 教育学部, 講師 (40262068)
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Keywords | 教育実習 / 教師役割 / 現象学的アプローチ |
Research Abstract |
本研究は、教育実習が教員養成において果たしている機能を、教育実習生がそこでどのような体験や学習をし、それらをどのように意味づけているのかを現象学的アプローチを用いて記述する作業を通じて、確認しようというものである。本年度は、この目的に沿って、1.教育実習の参与観察、2.質問紙調査票の作成と実施という2つの作業を行った。 第1の作業として、平成10年10月に2人の滋賀大学教育学部生の教育実習についてデータ収集を行った。特に、2日間の終日参与観察、実習期間内のインタビュー、実習期間内の書かれた記録物の収集がそこでの作業の中心となった。この作業は、来年度に行う本格的な現象学的研究の予備的研究であるとともに、質問紙調査の基本枠組みを作成するためのものである。ここでは、教育実習生が教師でも生徒でもない、実習生としての固有の生活世界・意味空間を持っていることが確認された。また、彼らがそこでの実践経験と実践観察を通じて日常的に教師役割と生徒役割の間を頻繁に行き来し、そのことを通じて学校教育に対するパースペクティブをより現実的なものに作り替えていることが明らかになった。第2の作業として、9月から11月にかけて、教育実習の参与観察を通じて得られた上の仮説に基づいて質問紙調査票の作成を行い、12月から翌年2月にかけて全国9大学の協力を得て質問紙調査を実施した。現在約1200サンプルの調査票の回収が完了し、その集計作業を進めているところである。本調査の結果については来年度の夏に報告書を作成する予定である。 なお、本研究で用いた現象学的な分析枠組み及びその手法については、論文「臨床実習における学びの様相-現象学的アプローチによる体験世界の記述-」 (看護研究第31巻3号 pp.39-52. 共著)で紹介している。
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Research Products
(1 results)