1999 Fiscal Year Annual Research Report
中国近代学校教育における教育方法改革と教師の教育方法意識の自覚化との関連
Project/Area Number |
10710133
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
長谷川 豊 京都府立大学, 福祉社会学部, 講師 (90254317)
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Keywords | 新教育 / 教育方法の改善 / 教育方法意識 / 憚代英 / 自学輔導法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1920年代を中心とする中国の教育改革期にあってアメリカ「新教育」に触発されて展開した教育方法の改善の取り組みが、教育研究者や実践者の教育方法意識の自覚化と密接不可分な関連を有したことを明らかにすることである。今年度は、昨年に引き続き中央教育科学研究所の協力も得て、とりわけ同研究所の白月橋(カリキュラム教材研究センター主任)、謝錫金(香港大学教育学院助教授)をはじめとする研究者から具体的な指導や助言を得て、また本研究についての課題や方向性に関する様々な教示を受け、また今後の共同研究や研究交流等についても検討を行った。 加えて、上海図書館等において、近代中国教育関係図書・雑誌を調査し、『中華教育界』のほか、中華基督教青年会全国協会書報部編集の『青年進歩』や『学生雑誌』(商務印書館)等における1920年前後の教育方法関連論文、および楊賢江・憚代英関連の論文・論説を収集した。 今年度は、特に当時中等教育にたずさわった憚代英に着目することにより、当初教授法の改善に焦点があてられていた教育方法改革が次第に学習者の学びのあり方や教材の是非、ひいてはカリキュラム編成の問題にまで広がりを見せる様相を明らかにすることができた。この成果の一部については、今年度の関西教育学会第51回大会にて「中国における新教育の受容(4)-憚代英と自学輔導主義-」と題して発表し、現在、同学会紀要第24号(2000年6月刊行予定)に投稿中である。また、来年度のところで、所属学会の日本教育方法学会やアジア教育史学会等での発表、年報や研究紀要等への投稿を目指して、研究、執筆を継続しているところである。
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