1998 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカ合衆国における公教育思想の展開-ハンナ・アレントの影響に着目して-
Project/Area Number |
10710136
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小玉 重夫 慶應義塾大学, 教職課程センター, 専任講師 (40296760)
|
Keywords | アメリカ合衆国 / ハンナ・アレント / 公共性 / 多文化主義 / 共同体主義 / リベラリズム / アイデンティティー / 教育改革 |
Research Abstract |
本年度は、ハンナ・アレントの公教育思想の形成と展開を、アレント自身の思想形成史に即して検討する作業を行うと共に、そこで得られた知見を、現代アメリカにおける多文化主義教育をめぐる論争と、現代学校論に関連づけて考察し、研究成果としてまとめた。そこから、以下の3点の知見を得た。1.多文化主義教育の教育論争におけるアイデンティー問題のアポリアを克服する視点としての出生(uatality)概念への注目。2.1をふまえ、公共性を共同体的空間論から時間論へと発展させる視点。3.時間論的視点を制約してきた近代教育思想におけ保護と進歩と概念を批判的に相対化すること。特に、3については、ハンナ・アレントにおける初期の思想形成を、ドイツ時代のものを含め得分析する課題の重要性が明らかとなった。これは、先行研究においては十分に解明されていなかった課題であり、この点を含め、次年度以降の研究課題として深めていくことの意義が確認された。
|
-
[Publications] 小玉重夫: "多文化主義からみたハンナ・アレント" 近代教育フォーラム. 7. 163-166 (1998)
-
[Publications] 小玉重夫: "戦後教育学における子ども・青年把握を問い直す-保護と進歩のユートピアを越えて-" 生活指導研究. 15. 3-19 (1998)
-
[Publications] 小玉重夫: "学校は、今何が出来るか-公共性の構築へ向けて-" 教育哲学研究. 79(発表予定). (1999)