1998 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルの都市サブカルチャーとしてのファンク音楽文化に関する研究
Project/Area Number |
10710152
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
北森 絵里 天理大学, 国際文化学部, 講師 (40278875)
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Keywords | サブカルチャー / 大衆文化 / 若者文化 / ヒップホップ / ファンク / 貧困層 / ブラジル音楽 / ブラジル |
Research Abstract |
本研究は、ブラジルのリオデジャネイロの都市貧困層の若者の間で、1980年代後半から今日に至るまで、圧倒的支持を得ているファンク音楽をめぐる世界を対象とし、その音楽世界における自己表現とアイデンティティの形成を考察し、さらに、アメリカ合州国都市から生まれたファンク音楽が、ブラジルの都市でサブカルチャーとして変容する過程を、世界的規模で広がる情報化社会の中で文化がいかに生成されるかという視点から考察することを目的としている。 今年度は、主として、現地調査において得られた第一次資料の分類・整理と基本文献の収集を行った。それにより得られた新しい知見は、次の通りである。1,研究対象である音楽の現地における導入と発展のプロセス、2,当該音楽のグローバルな音楽消費市場における位置づけ、3,現地で発売された音楽資料の歌詞分析およびミュージシャンのプロフィールなどを通してみる、音楽の送り手のマーケティングの分析、4,音楽の受け手である貧困層の若者の社会的位置づけ、5,受け手である貧困層の若者の、音楽を通して表現された自画像についての分析。 現在は、特定の集団の音楽とその社会・文化的意味が、他社会の特定の集団によって変容され、新たにサブカルチャーとして生成される過程、および、音楽の受け手の自己表現のあり方に関する理論化を検討中である。 来年度(平成11年度)は、日本民族学会全国大会において、本研究の成果を中間発表しレビューを受ける。さらに、現地の音楽資料の分析と理論化を進め、最終的な研究成果をまとめる予定である。
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