1998 Fiscal Year Annual Research Report
前近代山間村落の社会構造ならびにその支配に関する研究
Project/Area Number |
10710161
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
白水 智 中央学院大学, 法学部, 講師 (60301470)
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Keywords | 山村 / 生業 / 林業 / 焼畑 / 狩猟 / 鉱山 / 古文書 / 山地交通 |
Research Abstract |
本年度の研究推進については、年度当初、現地調査・文献調査の両面から同時並行的に進める予定をたてた。文献調査は、収集済みの『鎌倉遺文』を検索し、文献中世前期における山村政策のありかた等を探ってみるつもりであった。結果的に、この検索は予想外に時間がかかり、未だ全巻の半ば程度までしか進んでいない。そのため、統一的な山村政策の有無やその詳細についてははっきりしていないのが現状である。ただ、同時に検索している海に関わる史料のありかた等と比較すると、山にまつわる施策はより統一性に乏しいように思われる。山をめぐる在地的慣習はぽつぽつ見出されるが、たとえば海における供御人・神人組織のような編成は山に関して見出しにくいように感じられる。これらの疑問点の解明については次年度での課題としたい。 次に現地調査であるが、こちらはほぼ予定どおり進めることができた。98年8月と11月、そして99年3月には山梨県南巨摩郡早川町において個人蔵の古文書を調査・撮影し、また98年11月には早川町で見出した史料の関連調査(近世後期、早川の杣工が下野国川俣へ出稼ぎに出ていた)のため、栃木県栗山村川俣地区へ史料調査に出かけた。村内の、それも耕地稼ぎのみをその村の富や生産力と見なす視点に対し、山村からの出稼ぎがかなり重要な収入だったのではないかというのが現在私の関心の一つであるが、その点で、当時の川俣村が会所を設置し、林業の活発な現場だったことを確認できたのは収穫であった。また、いずれの調査においても今回購入したマイクロフィルム撮影用カメラが大いに役立った。撮影した史料は、現在目録作成・整理中である。
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