1998 Fiscal Year Annual Research Report
室町・戦国期における大名家による情報収集、伝達の方法とその実相について
Project/Area Number |
10710163
|
Research Institution | Niigata Sangyo University |
Principal Investigator |
小林 健彦 新潟産業大学, 人文学部, 講師 (40267670)
|
Keywords | 京都雑掌 / 室町幕府 / 朝廷 / 越後上杉氏 / 情報 / 京都之時宜 / 公儀 / 戦国大名 |
Research Abstract |
本科学研究費補助金交付に拘わる、研究の第1年目に当たった本年度の状況について記述する。本研究の目的は従来の室町・戦国期研究に於ける1つの空白領域である。情報管理の問題を顕在化させることにあった。私は従前より越後上杉氏、鎌倉府等の外交担当者、所謂京都雑学を取り上げて、その担っていた職掌の1つとしての情報収集、大名等その主人への伝達活動を調査してきたが、ここに至り、その範囲を更に広げて東西大名間に於ける事例の検証や比較検討を行なうこととした。そこで、研究計画第1年度に当たった本年度は、先ず準備的作業段階として、各古記録、故書資料よりの事例の検出とその整理とに主たる経費と時間とを使用した。特にその内、日記・古記録資料(主に京都側権門勢家に依り筆録されたもの)には、大名側がどの様な働き掛け(情報収集)をその出先機関である京雑掌らに行なわせていたのかが系統的に記録されていることから、ここからの記事の抽出作業に大いに時間を割いている。今年度は未だ作業的段階にあたるので、確固たる答えというものは得られていないが、特に西国大名(大内氏などはその代表事例であるが)については、室町幕府のあとを受けた形の日明貿易を実施する上での情報収集が特筆されるところである。つまり、雑掌僧(特に臨済禅僧)の活動が顕著な点であり、これは東国大名中には見られないものである。 次に、次年度への研究の展開であるが、以上の作業に依り得られたデータを整理しつつ、(1)「京と之時宜」と(2)地方の動向に関する情報とに大別し、大名がどこに視点をすえ、それをどの様に領国経営に生かそうとしていたのか、その情報管理の様相を明らかにして行きたい。
|