1998 Fiscal Year Annual Research Report
古代の神祗祭祀にみる大陸系祭祀の影響と帰化氏族の存在について
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10710167
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| Research Institution | Kanazawa Technical College |
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Principal Investigator |
吉川 美春 金沢工業高等専門学校, 一般科目, 講師 (30291884)
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| Keywords | 東西文部解除 / 大祓 / 御贖物 / 祓刀 / 神祗祭祀 / 帰化氏族 |
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| Research Abstract |
律令制下における神祇祭祀に六月十二月晦日に行われる大板祓がある。これは、罪穢を祓う祭祀であると共に、その構成上の性質などから天皇と百官との関係を象徴・確認する祭祀であったとされる。この大祓の中に「東西文部解除」(やまとかわちのふひとべのはらえ)という天皇に奉る儀式がある。これは、帰化氏族である東西文部の氏人によって内裏内で天皇に対してのみ、「祓刀」と漢語による祝詞(呪)が奉られるというものである。この、儀式に関して従来、「陰陽道的祭祀」であるとか、「道教的祭祀」、「呪禁」の類として認識・注目されてはいた。しかし、その性質に言及する論考は多いものの、この儀式が何故大祓の儀式に導入されているのか、また、それはいつ頃からなのかといった点に関しては、未だ不十分である。そこで、本研究では、東西文部の動向と朝廷での位置などを史料にもとづき、「東西文部解除」が、罪穢を祓うというよりも天皇の除災・延命を請願する儀式として存在していることや、大和・河内地方に勢力をもつ帰化氏族の統率者的地位にあった東西文部と天皇との関係を象徴していたのではないかと推察した。また、その儀式の大祓への導入時期としては、壬申の乱以降の天武天皇朝に比定されることや、天武天皇朝の賜姓制度の確立の過程に少なからず関係があるように思われることなどを考察した。
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