1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710168
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古尾谷 知浩 名古屋大学, 文学部, 助教授 (70280609)
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Keywords | 漆紙文書 / 都城 / 古代日本 |
Research Abstract |
1、天武朝から藤原京の時代の所産である奈良県飛鳥遺跡出土の漆塗工房関係遺物を調査し、奈良時代以降とは異なり、漆容器の蓋として紙が使われていないこと、紙で蓋をしなければならないような曲物を漆容器として用いていないことを確認した。この点と、平城京、長岡京出土資料による知見とを合わせ、漆容器と使用された蓋紙の歴史的変遷について一定の見通しをつけることができ、漆紙文書の資料的性格についての理解を深めることができた。 2、奈良市教育委員会が第128次調査として行った平城京左京七条一坊九坪の発掘調査で出土した奈良時代の漆紙文書を再調査した。その結果、新知見として、従来報告されていたが性格不明であった資料が、計帳類似の帳簿であることが明らかとなり、これ以外にこれまで文書として認識されていなかった資料が、別の計帳類似文書であることを発見した。 3、各地の発掘調査報告書を博捜して漆紙文書の出土事例を集成し、「漆紙・漆紙文書出土遺跡一覧(稿)」を作成した(公表準備中)。これを踏まえ、都城出土の漆紙文書と地方出土の漆紙文書を比較検討し、文書が廃棄されてから漆蓋紙に転用され、漆の流通に伴って移動する過程を考察した。
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