1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710172
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
須江 隆 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (90297797)
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Keywords | 中国 / 唐宋時代 / 祠廟 / 廟記 / 地域社会 / 国家と社会 / 社会秩序 / 礼 |
Research Abstract |
1.本年度は主として、標題の研究を遂行するに当たって、必要不可欠となる基礎史料「廟記」の蒐集につとめた。具体的には、(1)新規購入の『石刻史料新編』第1輯・第2輯・第3輯より、唐宋期の知識人階級が執筆した上記史料を網羅的に検索・蒐集し、唐・北宋・南宋の3つの時代別に整理・分類した。(2)2度にわたって、東北大学文学部東洋史資料室・同大学付属図書館に出張し、上記機関所蔵の『北京図書館蔵中国歴代拓本匯編』等の石刻史料を中心とした調査を行い、関連史料を複写の上、時代別に整理・分類した。 2.整理・分類した基礎史料については、随時精読を加えるとともに、既存の伝記資料索引や新規購入の『中国地方志宋代人物資料索引』を駆使して、「廟記」の撰者に関する史料を蒐集し、彼らの社会的身分や執筆時の境遇についての調査を進行しつつある。当作業は、未集の明清時代に編纂の地方志や『四庫全書』文集類に所収の「廟記」史料蒐集作業と並行して、来年度に重点的に行う計画である。 3.また本年度は、上記1, 2の研究と並行して、「祠廟」が当該期において国家権力と地域社会との利害衝突の場となっていた史実に着目し、「廟記」撰者の執筆の意図を、宋朝祠廟政策と関連づけて検討することを前提とした補完的研究も行い、成果として公表した(未刊)。具体的には、当政策を特色づける賜額・賜号盛行の問題に関する政治史的意味の解明に精力的に取り組み、廟額・封号濫発が顕著な二大ピーク(北宋の煕寧間・徽宗即位期)のうちの煕寧期に焦点を定めた考察を行い、かかる盛行という特異な現象が、党争に伴う政治上の彌縫策に起因していたことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)