1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710186
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤澤 敦 東北大学, 文学部, 助手 (00238560)
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Keywords | 東北北部 / 北海道 / 武器 / 馬具 |
Research Abstract |
日本の律令国家とは相対的に独自の文化を維持した、古代の東北北部と北海道の社会を究明する一手法として、武器と馬具を対象に、その生産と流通という観点から検討した。なかでも出土例が多い、武器では刀類と鉄鏃、馬具では轡を主要な検討対象とし、公表されている資料のデータを網羅しカード化した。その結果、近年、共伴資料から年代が限定できる資料が急激に増加していることを再確認した。それとともに、時間的変化の検討の際に基準となる、年代の明確な基準資料を抽出した。 金属製品の検討にあたっては、残存有機質部分を含めた詳細な実物観察が必要であり、東北北部の岩手県・秋田県・青森県と、北海道では道南部から道央部を今年度の対象地域とし、その中の重要な資料の調査を行った。 この調査を通じて、当該地域には、小型の刀や刀子に、呑口式となる構造のものが多いことが判明した。また、北海道での出土資料には、鞘の外側に魚皮の可能性がある皮状のものを巻いている例が存在することが新たに判明した。これらの外装は、これまであまり知られておらず、当該地方に固有のものである可能性が考えられる。一方で、金属部分には他地域との顕著な相違は認められないことから、鞘などの外装の拵え直しという可能性も考えられる。この点は、当該地域における金属製品の移入と、使用状況を検討する上で重要な論点となってきた。 馬具では、これまで類例が認められず孤立していた青森県出土の8世紀の轡に構造が類似するものが、秋田県出土の9世紀の資料にも存在することが確認でき、その変遷を検討できるようになった。
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