1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710195
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
千田 嘉博 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (70226695)
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Keywords | 城館 / 都市 / 村落 / 中世 |
Research Abstract |
中世の都市形成過程のうち、その原初段階において城郭が果たした役割を、日本とヨーロッパの比較を行うことで、新しい評価を導き出すことが、本研究の目的である。本年度は、東北(青森県十三湊遺跡、福島県会津若松城下町)・東海(静岡県興国寺城跡)・九州(熊本県宇土城跡)の各遺跡を実際に調査した。さらにドイツのリュベック市の考古調査局・フランクフルトのドイツ考古学研究所、フランスアレシアの調査現場を訪問して、比較研究のための指導・助言を得た。 この結果、ヨーロッパ中北部でも、広く都市形成に先立つ核として城郭の役割を評価してよいことが理解できた。こうした都市形成の過程はヨーロッパ南部と同様な「城郭都市形成」と同じと考えられる。 日本でも、14世紀以降の広範な集村化の核として城館の役割を積極的に評価すべきである。しかも村落の集村化と、城下町という形での城を核とした都市形成の、2段階にわたる城郭都市形成を複合的に行ったことが、日本の中・近世社会における集落形成の特色と、捉えることができるであろう。
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