1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710199
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
日高 水穂 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (80292358)
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Keywords | ダイクシス / 授与動詞 / ヤル / クレル / 対照方言学 / 東北方言 / 九州方言 / 言語変化 |
Research Abstract |
日本の各地方言のダイクシス表現、特に授与動詞(「やる」「くれる」に当たる動詞)と敬語表現の比較・対照を行う本研究の一年目の成果を、以下に報告する。 本年度は、以下のような調査を行った。 (1) 秋田県大館市・鹿角市;老年層55名(面接調査) (2) 岩手県盛岡市・花巻市:老年層5名(面接調査) 若年層106名(花巻南高等学校生徒に対するアンケート調査) (3) 福島県喜多方市:老年層6名(面接調査) 若年層96名(喜多方女子高等学校生徒に対するアンケート調査) (4) 熊本県熊本市:若年層111名(熊本高等学校生徒に対するアンケート調査) 日本の東西の両端に位置する東北方言と九州方言は、ともに授与動詞が視点的な対立をなさないという共通の現象を持つが、現在、標準語との接触の中で、視点的対立を獲得する方向にある。その変化の過程には地域差があり、「北陸タイプ」と「東日本タイプ」があることをこれまでに明らかにしてきた。ただし、この「東日本タイプ」の方言としてこれまで調査してきた地域は中部地方および北部伊豆諸島であった。今回、東北の3地域と九州の1地域で調査したところ、福島方言には明らかな「東日本タイプ」の変化傾向が認められたが、岩手・秋田方言では、「北陸タイプ」と「東日本タイプ」に分化する前段階的な現象が多く認められた。一方、九州方言については、専用の敬語形に乏しい東日本方言とは異なり、授与動詞を見る場合にも、その敬語形との機能区分の観点から調査を行う必要性があることがわかった。来年度以降の課題としたい。
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