1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10710230
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
岡田 尚子 大阪外国語大学, 外国語学部, 講師 (00263179)
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Keywords | 所有格 / HAVE構文 / Subjectification / 分詞構文 / 認知言語学 / 通時的研究 |
Research Abstract |
本年度の研究は3点に集約される。 1 本年度の研究実施計画で挙げたもののうち、主にsit/lie/stand/+-ing/-ed型構文の通時的基礎研究を行った。これらの位置・状態を表す動詞の意味は歴史的にもbeタイプ(copulative)動詞と同種のものへと発展してきた。動詞standを例にとると、最初に現れるのは分詞形が多く、いわゆる副詞的な用法として用いられていたのが、時代が下るに従って叙述用法として形容詞を、更には名詞句をも取るようになることがわかった。動詞別に見るとsit/lieは補文を形容詞どまり、standのみ名詞用法まで拡張を見せていることもわかった。来年度はこれに共時的分析を加えて、通時的分析と併せて認知言語学的に検討する予定である。 2. 昨年度から引き続いての研究課題であった、HAVE構文の史的変化研究を和文の論文にまとめた。英語の[hav+O+補語]構文について、その補語の統語的カテゴリーが通時的に見て形容詞、分詞から原形不定詞そして名詞へと推移すること、このような異なる統語カテゴリゴリーの変化は、認知言語学的に見れば自然で段階的な変化の1ステップとして捉えられること、また、HAVE構文がいわゆる使役と受け身の両方の意味を兼ね備えている理由として、動詞HAVEが元々の「掴む」という意味から次第に「経験」という動作主性の弱い意味を表すことができたことに由来すること、そしてこの経験という意味をHAVEが持つようになって初めて、他の使役・知覚動詞構文と同じパターンを採るようになったことが説明可能となる。 3. 同じく以前からの研究課題である英語所有格表現に関連して、英語の所有格構文についてまとまった知見を出しているTaylor(1996)について検討、その評価と不備を指摘し、その修正の可能性を示唆する書評論文を執筆した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 早瀬(岡田)尚子: "「動詞HAVEの補文構造拡張について」" 『藤井治彦先生退官記念論文集』(英宝社). (印刷中). (1999)
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[Publications] 早瀬(岡田)尚子: "「HAVE構文の歴史的変遷について-認知言語学の立場から-" 『英米研究』(大阪外国語大学英米学会). 22. 223-250 (1999)
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[Publications] HAYASE,Naoko: "Possessive Constructions:Their Commonalities and Differences" English Linguistics. 16・2(印刷中). (1999)