1998 Fiscal Year Annual Research Report
幼小児期吃音児の発話の音響的特徴の検討と治療への応用
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10710263
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| Research Institution | Kyoei Gakuen Junior College |
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Principal Investigator |
見上 昌睦 共栄学園短期大学, 社会福祉学科, 助手 (30279591)
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| Keywords | 吃音 / 音響分析 / 基本周波数 / VOT / モーラ持続時間 / stop-gap duration / ピッチ曲線 / フォルマント周波数 |
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| Research Abstract |
1.目的:学童〜成人吃音者の治療に伴う発話の音響的特徴の変化について調べた先行研究(Metzら,他,1979など)では、研究間で治療的アプローチは異なり、吃音改善に伴う音響的特徴の変化には相違がみられる。これまで吃音幼児4例について検討し3例にFoの下降、1例にstop-gapdurationの短縮がみられた。今回は男児1例について検討した。
2.方法:(1)対象児:2歳7カ月発吃の男児。初診時年齢は3歳10カ月。初診時のTK式幼児発達検査によるDQ72、ITPA言語能力診断検査では平均SS37(下位検査4種実施不能)。アイオワ式吃音重症度評定による吃音重症度3。(2)治療:4歳2〜9カ月まで母親助言指導面接を7回実施。4歳10カ月〜8歳11カ月まで児童中心遊戯療法に並行して母親面接・父親面接(1回のみ)を30回実施。吃音症状の変動については、遊戯療法場面の観察記録とVTR記録、母親記入による質問紙「家庭での記録」と母親面接により資料収集。吃音の経過:家庭場面の吃音重症度は6〜2の間を変動した後、8歳1カ月より重症度2、8歳8カ月以降重症度1で軽快状態が安定、9歳1カ月の最終観察場面では吃音頻度0.3%となり治療終結。(3)手続き:6歳2カ月〜9歳1カ月の間に4種の発話((1)有意味語絵カード呼称/paNda/、/banana/、(2)(1)と同じ有意味語復唱、(3)無意味音節/pa/、/ba/、/apa/、/aba/復唱、(4)日本語5母音を1音ずつ復唱)を各1回ずつDATに20回、治療日と同日および最終観察日に録音採取し、11回(6歳2、4、6、11カ月、7歳7カ月、8歳0、2、6、10、11カ月、9歳1カ月)を分析。(4)発話の分析:KAY社3700マルチスピーチを使用し以下6項目を統制群の発話と対比して解析。(1)/p/、/b/のVOT、(2)有意味語発話時語頭モーラ/pa/、/ba/の持続時間、(3)/a/終了からその直後の/p/、/b/の破裂が起こるまでのstop-gap duration、(4)/p/、/b/の後続母音/a/と5母音のFo、(5)有意味語発話時のピッチ曲線、(6)5母音のF,、F2。3.結果:本児は全検査語を聴覚的には吃らずに発話。VOTは吃音改善に伴う変化なし。有意味語呼称時のモーラ持続時間は吃音改善に伴い短縮の傾向。有意味語復唱時のモーラ持続時間は吃音改善に伴う変化なし。stop-gap durationは吃音改善に伴う変化なし。Foは吃音改善に伴う変化なし。ピッチ曲線は吃音改善に伴う変化なし。F_1、F_2は吃音改善に伴う変化なし。4.考察:吃音の軽快化を反映する音響学的指標は本児については有意味語呼称時のモーラ持続時間の短縮ではないかと考えられる。
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