1998 Fiscal Year Annual Research Report
危機に立つ政党国家における党内民主主義の憲法学的研究
Project/Area Number |
10720008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本 秀紀 名古屋大学, 法学部, 助教授 (00252213)
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Keywords | 政党国家 / 党内民主主義 / 憲法 / 会派議会 / 政党法 |
Research Abstract |
まず、研究課題に関わる国内外の文献資料を収集した。政党国家を論じたものはもとより、党内民主主義と法的規律の関係を考察したものも、とりわけドイツには豊富な理論的蓄積があるので、まだ十分とは言えないが、かなりの程度集めることができた。その際、大学院生をアルバイトとして雇い(資料の収集・コピーおよび整理)、科学研究費より謝金を支出した。 そのうえで、今年度はとくに、ドイツにおいて政党内の候補者選出手続に対する法的コントロールが問題となった事例について、研究を進めた。ドイツでは、わが国と異なり、基本法で政党の民主的内部秩序が要請され、それに基づく政党法が、これを具体化している。当該事例は、ある政党の地方組織が連邦議会の選挙区候補者選出にあたって適正な手続をふまなかったとして、選挙審査異議が申し立てられたものである。連邦憲法裁判所は、この異議自体は理由がないと判示したものの、政党の内部手続についてかなり立ち入って詳細に検討しており、一とりわけ「党内自治」を尊重する傾向にあるわが国の裁判所との対比においてーー注目に値する。今後は、学説状況もふまえたうえで、党内自治=政党の自由と、これに対する民主性の要請一法的規律との関係について、追究していきたい。 また、政党国家の帰結たる「会派議会」の憲法問題についても研究を進め、ドイツ憲法判例研究会において、関連する連邦憲法裁判所の判決を紹介・分析する報告を行ったうえで、これを雑誌論文にまとめて公表した(裏面研究発表「議事規則上の会派要件を満たさない議員集団の法的地位」)。
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Research Products
(2 results)