1998 Fiscal Year Annual Research Report
福祉・介護サービス提供に係る医療・福祉職のあるべき業務分担・連携と介護保険の評価
Project/Area Number |
10720031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊池 馨実 大阪大学, 法学部, 助教授 (10261265)
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Keywords | 介護保険 / 特別養護老人ホーム / 病院 / 老人保健施設 / 在宅福祉 |
Research Abstract |
本年度は、良質のケアを提供していると一般に評価されており、ケアプランの作成等介護保険への積極的対応を行ってきた病院、老人保健施設、特別養護老人ホーム(関西近辺の施設のほか、研究代表者が以前住し研究活動の拠点であった北海道の施設を含む)などの医療・福祉施設を視察し、医療・福祉職の業務分担がどのようになっているのかを聞き取り調査した。とりわけ、医師が常駐せず、看護職の配置人員も少ない特別養護老人ホームにおいて、ターミナル(終末期)にまで至る包括的なケアを行おうとすればするほど、それが本来的に医療的要素を本来的に含まざるを得ないことから、医師法・保健婦助産婦看護婦法などの医事法制との抵触を生じかねない事態が存在することを認識することができた。在宅でも同様の問題は生じるものの、専門職たる介護職よりも家族介護が中心となるため、かえって医事法上の問題を生じる余地が少ないどの側面があるのではないかと考えた。 介護保険に明しては、自治体訪問(大阪府四条畷市・兵庫県伊丹市)を行い、施行準備状況をヒアリングする等の活動を行った。2000年4月施行に向け、各自治体とも準備に追われているなかで、政省令等の遅れにより制度の細部が必ずしも明確になっていない面がある、しかしながら、施設サービスに関しては、施設類型・法定配置人員・保険給付金額などの面で、従前の医療・福祉サービスにおける体制に本質的な変更はなされないものと考えられる。 介護保険法の施行状況自体が流動的であるため、本年度は実態調査等を中心に行ったが、これを踏まえて来年度は、次第に整えられるであろう介護保険の実施体制を踏まえて、本格的な理論的分析に入る予定である。
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